【離職防止】なぜ従業員が会社を辞めてしまうのか?その原因と対策
人手不足が続いている昨今、企業にとっては新たな人材を確保するだけでなく、現在働いている既存の従業員に少しでも長く働いてもらうことが重要です。とはいえ近年の調査によれば、離職する従業員は決して少なくないようです。人材流出をどのように防いだらよいか悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。本記事では従業員が離職に至る原因を考察し、会社として取り組むべき離職防止策について解説します。
この記事の目次
なぜ従業員が離職してしまうのか?
厚生労働省の調査によれば、令和3年の1年間でおよそ717万2,500人もの労働者が離職しています。同調査によると、令和3年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由について、「定年・契約期間の満了」「個人的な理由」を除くと、男性は「職場の人間関係が好ましくなかった(8.1%)」、一方女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」10.1%となっています。
従業員が離職する際に当人からは「一身上の都合で」「家庭の事情で」と離職理由を語られることが多いですが、実際は上記の調査結果のように職場環境や仕事内容・待遇・会社の人間関係への不満など、多岐にわたります。
では、実際にどのような原因で従業員が不満を抱き、離職してしまうのでしょうか。その原因について、要因ごとに見ていきましょう。
- (参考):厚生労働省資料 入職と離職の推移
職場環境
職場環境への不満が重なり、結果として従業員が離職してしまうケースがあります。職場環境とは、その会社の社風や企業風土、評価制度や労働環境などを広く指しますが、例えばワークライフバランスを重視する価値観をもった従業員にとって、長時間労働が当たり前の社風の会社で働くことには抵抗があるでしょう。
その会社がどのような職場環境なのかは、入社前の説明会や採用面接等で伝えられるケースが多いと思われますが、それでも実際に入社した後に感じるギャップは人それぞれです。このギャップが大きければ大きいほど、職場環境への不満が蓄積されて労働意欲が下がり、離職へとつながっていく可能性があります。
人間関係
会社の人間関係に悩みを抱え、最終的に離職を選んでしまうケースです。
従業員や上司、経営層、取引先などが日ごろ仕事を通じてコミュニケーションをとる中で、良好な関係性が築けていないとストレスが溜まっていきます。
●一緒に仕事をする先輩や上司に相談したくても気軽にできない
●同じ職場に仕事をしないメンバーがおり、仕事を進める上で障害になっている
●上司からハラスメントを受けており、周囲もそれを黙認している
こういったケースは一例ですが、職場の人間関係が悪化すると職場に行くことすら辛くなり、思い詰めて離職してしまうこともあります。
仕事内容
仕事内容への不満が積み重なり、結果として離職につながってしまうケースもあります。
入社当初に説明を受けていた仕事内容と異なっていたり、途中で仕事内容が変わってしまったりすれば、当初従業員が期待していたキャリアパスが描けなくなって失望につながることもあるのではないでしょうか。
また、仕事内容の難易度が自分自身のスキルに見合わず、高度すぎて達成できなかったり、逆に簡単すぎて仕事への意欲が下がってしまったりすることもあります。
これらの場合はいずれも仕事内容とキャリアの希望、スキルとの間にギャップが生じており、それが離職につながっていると考えられます。
成長実感
前述の内容とつながりますが、従業員が仕事をしていても成長実感が得られず、「今の職場ではダメだ、もっと自分を高められる職場へ転職しよう」と感じることがあるかもしれません。
仕事を通じて新たな知識やスキルを身につけ、徐々にできることを増やして仕事の幅を広げていくなど、成長を実感することができれば従業員の大きなモチベーションにつながります。このような成長実感が得られにくい環境、例えば仕事内容が自身の能力に見合っておらず、難易度が低すぎるケースなどがこれに該当しますが、こういった場合に成長実感が得られずモチベーションが低下してしまい、離職につながっていくことがあります。
労働条件
労働条件に不満を抱いて離職するケースもあります。例えば「労働時間が長い」「土日に休めない」「福利厚生が充実していない」などの点に不満を抱く場合が挙げられます。
従業員の離職が企業に及ぼす影響
せっかく入社して経験を積み、スキルを身につけてきた従業員が離職してしまうと、会社にとっても少なからずダメージがあるものです。ここでは、従業員の離職が企業に及ぼす影響について見ていきましょう。
優秀な人材の流出
業務遂行の能力が高く、社内のコミュニケーションも問題なくとれている、いわゆる優秀な人材が離職してしまうと、これまでうまく回っていた業務に支障をきたすおそれが生じる可能性があります。また、自社内の業務が回らなくなるばかりか、同業他社へ優秀な人材が流出したことにより、自社で蓄積してきたさまざまなナレッジまで流出してしまうリスクも考えられるでしょう。
しかも、新入社員に同程度のスキルや経験を積んでもらい活躍してもらうまでに時間もコストもかかります。会社としては、単に一人の従業員を失う以上の損失を被ってしまいかねません。
既存従業員の負担増
離職した従業員の仕事の穴を埋めるには、そこに人員の補填、あるいは離職した従業員が行っていた業務の工数を見直してスリム化するといった施策を講じる必要があります。しかし、業務の見直しが難しい場合、やはり当面の間は既存従業員によって開いた穴を埋めるしかありません。
ただ、離職者が出たことによって従業員の総数は減っているため、仮にそれまで二人のメンバーで担当してきたタスクのうちの一人が抜けてしまったとすれば、単純計算で残された一人にかかる仕事量は倍となり、著しく負担がかかる状態となります。負担が一気にかかれば、結果的に残された従業員も離職につながっていくかもしれません。
採用にコストと時間がかかる
従業員が離職した場合、その業務の穴を埋めるために人員の補填が必要になります。自社内の他部署メンバーを異動して教育することもありますが、新たに新卒・中途採用で人材を登用することも考えられます。
人材を採用するには募集・面接の工数や手続きの手間、コストのほか、時間がかかります。なお、厚生労働省の調査によると、1件あたりの平均採用コストについては、民間職業紹介事業者(紹介会社)では、正規従業員が平均85.1万円、非正規従業員は平均19.2万円となっています。
企業イメージの悪化
離職率の低い会社は雇用が安定しており、労働環境のよい会社として周囲に好印象を与えることができます。柔軟な働き方が実現可能でワークライフバランスがとりやすかったり、福利厚生が充実していたりすることが多いでしょう。
逆に、離職率が高い会社は人材が定着しないイメージがあり、それは求職者から敬遠される要因にもなり得ます。離職率は会社のホームページや四季報、ハローワークへの問い合わせなどで調べることができますので、求人に応募する際の参考にする人がいるかもしれません。
求職者からすれば、人材が定着していない企業には何らかの問題があると判断する可能性があり、こうなると会社の採用等の人材戦略にも影響を与えかねません。
離職を防止するために企業がすべきこと
それでは、従業員の離職をあらかじめ防ぎ、これらの影響を回避するために企業は何をすべきでしょうか。従業員に「この職場で長く働き続けたい」と思ってもらえるような会社になるために取り組むべきポイントについて見ていきましょう。
離職しそうな従業員の特徴を把握
従業員があるとき突然退職を申し出てくるケースもあるかもしれませんが、「もしかしたら退職を考えているのかも?」といった兆候が見られることもあります。例えばこれらは一例ですが以下のようなサインが見られるのではないでしょうか。
●仕事や人間関係への不満やグチが増えた
●仕事以外のコミュニケーションが減る・なくなる
●仕事への取り組みが消極的になる
●元気がなく、挨拶もしなくなる
●遅刻・早退が増える
上司との面談やアンケートなどを通じての様子を把握し、兆候が見られるようであれば何らかのケアが必要です。
従業員とのコミュニケーション
離職しそうな兆候をキャッチした従業員に対して、まずは本人の勤怠の状況などの現状を把握しつつ、コミュニケーションをとることが大切です。気軽な相談をベースに、傾聴に徹する形で否定せず対話を繰り返していくと、「実はここが不満で…」といった会話が生まれる可能性があります。その従業員の困りごとや不満で改善できることがあれば施策を検討してみることも大切です。
離職を防止するための対策
離職の兆候のある従業員への向き合い方について解説してきましたが、離職自体を未然に防止することも重要です。
厚生労働省の調査によると、「休暇・急な早退等が必要な際、従業員間で融通し合えるよう、十分な人員数を配置」「休暇・急な早退等を申請しやすい職場雰囲気の醸成」「テレワーク等の柔軟な働き方の導入・推進」などの施策が、働きやすさの向上につながると示唆されています。
【対策一例】
●日常的に従業員とコミュニケーションをとる
●従業員の仕事への熱意・モチベーションを把握する
●待遇面や労働時間などを改善する
コミュニケーション不全があるのであれば、業務や今後のキャリアについて定期面談を設定するなど、コミュニケーションの機会を仕組みとして増やすことも一案です。
もし、離職の原因が待遇面にあるとするならば、給与や評価制度の見直し・改善によって離職を防止できる余地があるでしょう。
また、長時間労働が常態化していることを不満に感じて離職するケースに対しては、まずはどの従業員の労働時間が長時間化しているのかを適切に把握することが重要です。勤怠状況をリアルタイムに把握することができれば、どの従業員が多く残業をしているのかを日次で把握することができます。また、有給休暇が取得できていない従業員については取得を促すなど、労働環境の改善につなげていくことが可能です。
勤怠管理システム導入で従業員の勤務状況をしっかり把握
従業員が離職してしまう背景には、働きやすい環境をつくれていないことが原因の一つとなっています。従業員の働きやすい環境を構築する上で、まずは現状をしっかり把握することが第一歩です。では、従業員の勤務状況を適切に把握するためには、勤怠管理をどのように行えばよいのでしょうか。
正確かつ適切に把握するためには、適切に勤怠管理を行う環境を整備することが必要です。その実施にあたっては、厚生労働省のガイドライン「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を遵守する必要があります。ガイドラインでは「使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること」とされており、上長が勤怠を現認する方法や紙での管理などのアナログ管理だと、実施することはなかなか難しいかもしれません。
そこで、勤怠管理システムを導入することをおすすめします。
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②長時間労働が見込まれる従業員・上司にアラートを出して業務調整を促すことができる。
③休暇管理で、休みが取れていなかったり体調を崩して休みがちになっていたりする従業員を早期発見することができる。
システム化された勤怠管理によって労働環境のリアルな状況を把握し、労働環境の改善と離職防止を図ることが可能です。
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- 監修石川 弘子
- フェリタス社会保険労務士法人 代表
特定社会保険労務士、産業カウンセラー、ハラスメント防止コンサルタント。
著書:「あなたの隣のモンスター社員」(文春新書)「モンスター部下」(日本経済新聞出版社)
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