中小企業向きのクラウド型勤怠管理システムは?選び方4つのポイント【社労士解説】
クラウド型の勤怠管理システムは、多くの種類が存在します。各システムさまざまな機能を取りそろえ、強みもそれぞれです。システム選定の際は何を基準に選べばいいのか迷いがちです。今回は中小企業の人事労務担当者の方のために、4つ選び方のポイントをまとめました。
この記事の目次
従業員、承認者、管理者が使いやすいか
クラウド型勤怠管理システムの選び方のポイントは、なんといっても「使いやすいかどうか」です。従業員、承認者、管理者のそれぞれが使いやすいシステムを選びましょう。立場ごとに考えてみます。
従業員の使いやすさのポイント
「日々の打刻や休暇、残業の申請がしやすいか」がポイントです。休暇や残業の申請の使用頻度は高く、使い勝手がよくてわかりやすい操作性が重要でしょう。マニュアルを見なくても画面を見ただけで操作ができるシンプルな画面のシステムだと、システム操作の苦手な人にとっても使い勝手がよく定着しやすいでしょう。
承認者・上長の使いやすさのポイント
「申請の承認がしやすいかどうか」「部下の勤務状況が分かりやすいか」がポイント。承認すべき申請や、エラーが一覧表示で見られると便利です。承認者にとっては、忙しいときに時間をかけることなくスムーズに承認できることが重要となります。また部下の勤務状況がリアルタイムに分かる勤務状況がリアルタイムにわかることで、過度な残業の予防につなげられます。
管理者・人事労務担当者の使いやすさのポイント
管理者や人事労務担当者にとって重要なポイントは「システムの設定、メンテナンスがしやすいか」「給与システムとの連携しやすいか」「データが様々な角度で抽出できるか」です。
中小企業の人事労務担当の場合は、勤怠管理以外にも経理や総務の業務など、広く行っているケースが多く設定やメンテナンスに時間をかけられない場合が多いです。日々の勤怠の集計、給与計算作業、システムのメンテナンスに極力時間をとられずにスムーズに業務が行えるシステムかが重要になります。
必要な機能がそろっているか
クラウド型勤怠管理システムの機能は、多ければいいわけではありません。自社の運用に合った機能がそろっているかどうかで判断しましょう。特に、中小企業の場合、「そこまで機能はいらない、多くの機能を使いこなせない」というケースも多くあります。
「機能が多そうだから」という理由で導入し、失敗してしまうことは少なくありません。
現状の運用方法を変更して、かえって不便を感じることもあります。そのため、ひとまず現在自社に必要な運用方法を洗い出し、必要な機能がそろっているかを見ていくことが大切です。
機能検討時に少なくとも確認しておきたいポイント
- ①出退勤の打刻方法
(スマホ打刻、位置情報の取得、交通系ICカードや社員証での打刻ができるか) - ②自社で採用している勤務形態や雇用形態への対応ができるか
- ③申請承認フロー設定
(何段階まで設定が可能か、部門や部署によって設定を柔軟に変えられるか) - ④年次有給休暇やその他の休暇の管理が楽か
(自動付与の機能や年次有給休暇管理簿として使用できるか、年5日取得義務に対応できるかなど) - ⑤残業時間の管理やアラート機能の有無
会社で従業員にスマホを貸与している場合などは、出退勤の打刻方法をスマホに統一するのもよいでしょう。または営業のみスマホ打刻を許可するなども方法もよいでしょう。
雇用形態は、正社員やパート・アルバイト、契約社員、嘱託社員など多様化しています。
働き方はテレワーク勤務や、時短勤務、変形労働時間制、フレックスタイム制など、従業員や部署によって異なることもあるでしょう。管理監督者のように、遅刻早退・休日・休憩などは適用されない場合でも、有給休暇や深夜労働が適用される従業員もいます。
これらを踏まえると、勤怠システムを選ぶ際には、自社で採用している勤務形態や雇用形態に合わせて適切な設定ができ、日々の実労働時間や残業時間を正確に計算できるか、申請承認フローや休暇、残業時間が適切に管理できるかが重要になります。
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サポート体制が整っているか
勤怠管理システムを選択する際は、「サポート体制が整っているか」も大事なポイントです
- ①導入開始前のサポート体制が充実しているかどうか
- ②サポートは専任かそうでないか
- ③電話、メール、ウェブ会議など相談する手段が豊富かどうか
- ④導入後も相談できるサポート体制があるかどうか
運用開始前には、従業員情報の登録や給与計算に必要な労働時間算出のルールを決めて登録していく作業が必要です。そのためには、定期的なミーティングを開催し、運用開始に向けて段階的に進めていかなければなりません。
導入前に以下のような点に苦労する事が多いです。
- 人事労務の担当者が忙しくて準備が進まず、運用を開始したい日に間に合わない
- 設定がうまくいかずサポートを利用しようとしても返事がなかなか返って来ない
導入前には定期的にミーティングを行うなど、サポート体制が整ったシステム会社を選ぶとよいでしょう。また、導入開始後も会社内で運用や就業規則を変更した場合などに、適宜相談できる体制があるかどうかも確認しておく必要があります。導入後も専任のサポートがいれば安心ですが、非専任でも相談内容が共有されており問い合わせにスムーズに対応できる体制であれば特に問題はないでしょう。
法改正に合わせてアップデートしているか
労働基準法や労働安全衛生法、働き方改革関連法など人事労務領域にまつわる法律に抵触しないシステムを選ぶことも、ポイントの1つです。
特に中小企業は2020年4月に「時間外労働の上限規制」が適用となり、2023年3月31日には中小企業における「月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ」の猶予が廃止となります。
現在の法律に抵触せず今後も法改正に合わせてアップデートで対応していけるシステムを選ぶことが必要になるでしょう。
中小企業の勤怠管理にも直接関係する、重要な法改正の内容を確認してみましょう。
労働時間の把握義務
(施行日:2019年4月1日)労働安全衛生法では、長時間労働となる労働者を対象とする面接指導を実施するため、事業者に労働時間の状況を把握する義務があることが明記されています。そのため、企業は従業員一人ひとりの就業状況を正確に把握しなければなりません。
- (参考):e-Gov「労働安全衛生法 第66条」
年次有給休暇の確実な取得
(施行日:2019年4月1日)10日以上年次有給休暇が付与される労働者に対し、毎年付与した日から1年以内に年5日の年次有給休暇を取得させることが使用者の義務となりました。また「年次有給休暇管理簿」は使用者に作成と保存が義務付けられています。
時間外労働の上限規制
(施行日:大企業は2019年4月1日 中小企業は2020年4月1日)法改正前にも時間外労働の上限の基準(月45時間・年360時間)はありましたが、厚生労働大臣の告示によるもので罰則規定がありませんでした。また、臨時の特別の事情があって労使合意によって定める「特別条項」を設けることで、実質無制限に時間外労働を行うことができるものでした。
法改正により、36協定があっても時間外労働の上限は原則として「月45時間・年360時間」、特別条項を締結した場合でも「年720時間」と変更されています。また、特別条項の有無にかかわらず、時間外労働と休日労働の合計は、「単月100時間未満」「2~6ヶ月の平均は月80時間以内」と労働基準法に明記され、罰則による強制力が生まれたのです。
ただし、建設の事業、自動車運転の業務や医師など一部の事業や業務においては適用までに一定の猶予期間が設けられていいます。
- (参考):厚生労働省「「働き⽅改⾰」について」
中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ
(施行日:2023年4月1日)月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率(50%以上)は、中小企業への適用が猶予されていました。この猶予措置は2023年3月31日をもって廃止されます。これによって、2023年4月1日以降は、中小企業においても、時間外労働が月60時間を超える部分について50%以上の割増賃金率としなければなりません。
- (参考):厚生労働省「「働き⽅改⾰」について」
まとめ
中小企業がクラウド型勤怠管理システムを選定する際に大切な4つポイントは、以下の通りです。
- 従業員、承認者、管理者が使いやすいか
- 自社の運用にあった必要な機能がそろっているか
- サポート体制が整っているか
- 法改正に合わせてアップデートしているか
会社の規模や運用方法によって合う合わないがありますので、自社に適切なクラウド型勤怠管理システムをお探しの方はこちらから相談してみてください。
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- 監修加治 直樹
- 銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。
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