二重打刻や打刻漏れなど、タイムカードの打刻ミスへの対応と防止法
企業・経営者(使用者)の従業員(労働者)に対する勤怠管理としては、古くから「タイムカード」を用いる方法が広く普及しています。ただし、操作や運用が簡単、コストが安いといったメリットはあるものの、二重打刻や打刻漏れなどのミスが発生するというデメリットもあり、トラブルにつながってしまうケースは多々あります。本記事ではその具体例、原因、対策についての解説をします。また、近年注目されている「勤怠管理システム」についてもタイムカードと比較しつつ、導入する際のポイントをご紹介いたします。
この記事の目次
タイムカード打刻による勤怠管理はミスの原因
タイムカード打刻による勤怠管理は、従業員がタイムレコーダーに紙製のカードを入れて、出退勤時間を打刻することで勤務時間を把握するというシンプルな方法です。シンプルで誰でもすぐに利用できるようになるという運用上のメリットはあるものの、ミスやトラブルが発生しやすい側面もあります。
具体的に、タイムカードによる勤怠管理の運用にはどのような問題があるのか、確認していきましょう。
二重打刻
「二重打刻」は出退勤の際、一度打刻したのに、文字どおり“二重に”打刻してしまうという状況です。
二重打刻が起こってしまう背景にはさまざまなパターンがありますが、主な原因としては、次のような状況が挙げられるでしょう。
- ●「ぼんやりしていた」「忘れていた」など無意識に2回打ってしまった
- ●時間を間違って打刻したので、やり直した
- ●ちゃんと印字できていなかったので、やり直した
- ●誤って他人のタイムカードに打刻してしまった/他人が自分のカードに打刻していた
- ●遅刻・早退・欠勤をごまかすため、故意に不正な打刻を行った
「忘れていた」「間違った」「正確に印字ができていなかった」など、悪意なく二重打刻をしてしまうことは少なくないでしょう。
しかし、なかには意図的に2回打ったり、他人に頼んでそれが二重打刻につながったりという不正行為もあります。
いずれにしても、現場で完全に二重打刻を防止することは難しいといえます。
打刻漏れ
タイムカードに打刻の印字ができていない状況、いわゆる「打刻漏れ」もミスの理由の一つです。出退勤や休憩などの時間がきちんと打刻されてないのは、従業員が故意に打刻しなかったというより、「忘れて帰ってしまった」など“うっかりミス”である場合がほとんどでしょう。ほかにも「出張や営業先に訪問していた」など、物理的にどうしても打刻できなかったというケースもあります。
これらを誘発する原因としては以下が考えられます。
- ●従業員に打刻の習慣がついていない
- ●タイムレコーダーの設置場所に問題がある
これらの原因を解決するには、社内でのタイムカード運用ルールの浸透や、運用のしやすさを改善する必要があります。
タイムカードの印字ずれやかすれ
タイムカードで起こる問題は、二重打刻や打刻漏れだけではありません。タイムレコーダーのトラブルが原因となっている場合も考えられます。たとえば次のような状況です。
- ●打刻しても印字が所定の枠からずれてしまう
- ●印字がかすれている・薄くて見えない
- ●設定ミスなどで、正しい時間とレコーダーの表示時間が異なっている
- ●その他、レコーダーの故障・不具合
カードを強く押し込むことや、逆に浅すぎることによるタイムレコーダーの誤った使用方法や、タイムレコーダーのメンテナンス不足が原因となります。
従業員一人ひとりのタイムレコーダーの使い方に関する教育や、定期的なタイムレコーダーのメンテナンスが必要です。
タイムカード打刻のトラブルが及ぼすリスク
タイムカードに印字されている時間の記録は、従業員の勤怠実績を記録する大事なデータです。打刻漏れや二重打刻などの不備があると、本来の労働時間が正しく記録されないことになります。それは、勤務時間の集計や給与計算に誤りが生じたり、従業員への修正・確認依頼や、勤怠実績修正に関する社内承認など、勤怠管理業務における工数が増えることにつながります。
また、勤怠管理に従事する労務・人事担当者の作業時間が増えることでヒューマンエラーが発生し、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
当事者はもちろん、企業全体に悪影響を及ぼす可能性もあります。どのような影響が懸念されるか確認していきましょう。
労働時間が正確に把握できない
「働き方改革」による労働基準法や労働安全衛生法の改正により、企業は従業員の正確な労働時間を把握することが義務付けられています。従業員の出退勤時の打刻ミスがあった場合や、実態と異なる記録が残ってしまった場合は、正確な労働時間の把握と正しい給与計算を行うために打刻データの修正が必要です。
特に、打刻修正で「労働時間が減る」ケースでは、企業側による改ざんとみなされないよう、客観的な記録と理由を残す必要があります。
人事・労務担当者の業務量が増える
従業員の労働時間の集計や給与計算の管理をしている人事・労務担当者は、タイムカードで打刻された出退勤時間に基づいて業務を行います。タイムカードによる勤怠実績集計時には、カードに印字された情報を別の書類やエクセルなどに転記するという作業が必要です。正しい勤怠管理のためには、その時点でミスがないよう、注意を払うことが求められています。
そのうえに、もし二重打刻や打刻漏れなどの不備があると、勤怠実績の修正・確認作業により工数がかさみ、勤怠管理業務にかかわる人や部署の影響を与える可能性があります。
給与計算のミスによる未払い額を請求されることも
二重打刻や打刻漏れが起こったら、すぐに修正して正しい労働時間を確認し、給与を計算・支給することが望ましいですが、後になってタイムカードの勤怠実績が間違っていたとわかるケースもあります。その際、勤務時間や給与が実態より少なく計算されていたという場合は、「給与の未払いが生じている」状態になっています。従業員にはその未払い分を請求する権利があるため、事態がこじれたり長引いたりするようであれば、法的なトラブルへと発展することも考えられます。
それは、本章で確認してきた、「改ざんとみなされないよう、客観的な記録を残していくことが重要」「担当者の作業負担が増える」「企業全体にも悪影響が出るおそれがある」といったことに直結しています。
二重打刻や打刻漏れが起きたとき、どう対応すればいいのか?
従業員の打刻ミスが発覚した場合、企業側は事実確認をして速やかに修正作業を行うことが求められます。迅速な対応ができれば、確認や修正の作業の負担も軽く済み、勤怠管理業務の工数を最小限に留めることが可能になります。そのためにも人事・労務担当者は、打刻ミスが発生していないかどうかを日常的に確認していくことが必要です。
さらに、打刻ミスによる不備が起きたときの対応について解説していきます。
ミスした従業員本人に確認をとる
従業員が打刻ミスを起こすとき、「うっかりしていた」「忘れていた」というものから、労働時間やそれに伴う給与を増やすための「不正」など、さまざまなケースが考えられます。企業の担当者は、まずはその従業員に事実確認をすることが急務です。本人への確認によって、「他人が誤って打刻した」「タイムレコーダーに不具合があった」などの原因が判明し、その流れで当該部署の上司・同僚に話を聞くこともあるでしょう。
再発防止のため、正しい打刻の必要性を周知する
打刻ミスは、企業の取り組みによって改善できることが多々あります。再発防止のためにも、従業員の意識を高める機会を迅速に設けることがポイントです。
正しく打刻することは、正しく給与を受け取るための基盤となるため、企業側だけでなく、従業員にとっても非常に重要です。それを周知することに積極的に取り組んでいきましょう。掲示物・配布物・社内メールで告知したり、従業員に注意喚起するミーティングを開いたりするとよいでしょう。
ミスした従業員にペナルティを科すことはできるのか?
従業員が二重打刻や打刻漏れを起こしてしまった場合、ペナルティを科すことはできます。ただし、「たまたま、その日はうっかりしていて忘れた」という比較的軽いものもあれば、明らかな悪意に基づいて「不正を行った」という深刻なケースもあるため、すべてに同じ対応というのは難しいかもしれません。あらかじめ就業規則などで明文化しておくこともポイントといえます。
たとえば、「減給処分」という比較的重い対応も可能ですが、法律で次のように定められているので遵守が求められます。
(引用):労働基準法 第九十一条「制裁規定の制限」
「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」
- (参考):労働基準法第九十一条(制裁規定の制限)
その他、「始末書を書いてもらう」といった方法もありますが、いずれにしても、ペナルティについては企業の方針や具体的な業務内容・労働環境によって適切な内容は異なるものといえるでしょう。
打刻トラブルを未然に防ぐ。データの電子化と勤怠管理システムの導入
タイムカード打刻には「誰でも簡単に操作できる」という利点がありますが、記録は物理的な印字で行われるため、打刻漏れ・二重打刻・印字のずれなどが起こり、間違いが生じるリスクもあります。
これに対し、打刻データを電子的に記録して管理する方法では、そのような不備が発生する可能性を下げることができます。
タイムカードに代わって普及が進んでいる「WEB打刻」および「勤怠管理システム」について、その特徴を確認していきましょう。
タイムカード不要。ICカードやスマホなどで打刻できる
WEB打刻では、従業員は従来のようなタイムカードを用いることなく、ICカードやパソコン・スマホ・タブレットなどを通じて出退勤時間を送信することで打刻が完了します。専用のサイトやアプリなどから勤務データを登録できるので、タイムレコーダーの設置場所を考える必要はありません。出先や出張先からでも打刻ができるという利点もあります。
企業(経営者)側は、WEB打刻に対応したシステムを導入することで、リアルタイムに従業員の勤怠データを正確に把握し、速やかな集計や正しい給与計算ができます。
アラート機能により打刻ミスを防止できる
システム管理のメリットとして、タイムカードにはなかった「アラート機能」が挙げられます。
従業員に打刻漏れなど通常とは違う打刻ミスが発生した場合、勤怠管理システムの機能によって、それが画面上にアラート表示されるというものです。企業の管理担当者は迅速に状況を確認でき、適切な対応につなげることができます。
アラートですぐに表示されることで速やかに手が打てるため、打刻ミスを未然に防ぐことができる機能といえます。後日、集計時に打刻ミスの有無を確かめて修正するというタイムラグやタイムロスもなくなり、担当者の負担が大幅に軽減されます。
アカウント権限機能により申請・承認の設定ができる
勤怠管理システムでは、従業員はアカウントを作成し、それに基づいて出退勤時間の報告や休暇の申請を行います。これらの申請に対する企業側からの承認もWEB上で行うことができます。それらの設定を行っていれば、紙の書類での届出や、承認・管理などの作業は必要ありません。時間・場所を問わず機能を活用できるため、いつでもシステム上で申請・承認が可能です。
タイムカードの二重打刻が起こってしまう際には、「誤って他人のタイムカードに打刻してしまった」「他人が自分のタイムカードに打刻していた」といった原因がありますが、アカウント権限機能によって、そのように第三者が誤って打刻してしまうような不備も解消されます。
残業、有給休暇の管理ができる
従来のタイムカードは、出退勤を打刻することで労働した時間は確認できるものの、「どれくらい残業したのか」について、ひと目で把握することはできませんでした。
そのため、従業員は現在の残業可能時間がわからなかったり、企業の担当者は残業時間などを従業員ごとに細かくチェックしたりと、確認に時間がかかる状態でした。
有給休暇についても、各従業員が「何日取得しているのか」「残日数はどれくらいあるのか」などを掌握することはできません。
しかし、勤怠管理システムでは、残業や有休についても一元管理でき、それぞれの従業員のデータを速やかに、かつ正確に確認することができます。
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株式会社ラクスのクラウド型勤怠管理システム「楽楽勤怠」は、二重打刻や打刻漏れといったミスが発生するリスクがなく、企業が正しい出退勤情報をリアルタイムで取得できる機能を搭載しています。
打刻漏れがあった際にエラーやアラートが表示され、それを従業員と人事・労務担当者がそれぞれの画面で確認することができ、修正箇所がひと目でわかるようになっています。さらに「楽楽勤怠」の勤怠管理は、勤務形態・雇用形態によって柔軟に設定することが可能です。従業員の打刻時の位置情報(GPSなど)も取得できるため、外回り・出張・在宅ワークといった勤務形態を導入している企業でも広く活用できます。そのほかにも日々の出退勤管理に加えて、従業員によって異なる残業・有給休暇・振替・代休などを確認できる機能など、勤怠管理業務に必要な機能を取りそろえています。
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