ICカード型の勤怠管理システムとは?メリット・デメリット、導入時に気をつけるポイント
勤怠管理において、交通系ICカードなどを利用して出退勤の打刻をシステム化している企業が増えています。これは、スキャナー機能を持つICカード専用打刻機(以降は「カードリーダー」と表記)を設置し、従業員はそこにICカードをかざすだけで打刻が完了するというスタイルです。
ただし、ICカードを使うことによる課題もいくつかあり、導入には注意が必要となります。この記事では、具体的なICカード打刻のシステム、メリットやデメリット、どのような企業がICカード打刻に適しているのかなどを解説します。また、効率的に勤怠管理を改善したい労務担当者、実際にシステム導入を検討している企業への参考となるポイントについてもまとめていきます。
この記事の目次
ICカード打刻ができる勤怠管理システムの特徴
勤怠管理システムには、従業員の出退勤など労働時間をリアルタイムで正確に把握できる特徴があり、近年多くの企業で導入されるようになってきました。また、勤怠管理システムで用いられる出退勤の打刻方法はさまざまな方式があり、特にICカード打刻ならば交通系ICカードや社員証をそのまま利用できるため、改めて企業で用意する必要がないというメリットがあります。
ただし、ICカードには通信規格が存在します。打刻を受ける側の機器も、それに対応したICカードリーダーを選ぶ必要がある点については注意しなければなりません。
勤怠管理システムの主な特徴
勤怠管理システムとは、企業が従業員の出退勤の記録から勤怠実績を管理するためのシステムです。現在、テレワークによる在宅勤務など働き方が多様化してきたことにより、従業員がどこにいても勤怠状況を登録できる仕組みが求められています。その点で、勤怠管理システムを導入すれば従業員は居場所に関係なく、パソコンやスマートフォンからの勤怠登録、社内ではタイムカードではなくICカードによる勤怠管理を可能としています。
また、働き方改革が推進されるなか、「客観的な記録による労働時間の把握」(労働安全衛生法第66条の8の3/労働安全衛生規則第52条の7の3)が企業に義務化(※)されています。勤怠管理システムがあれば、企業は勤怠状況の把握や勤怠実績の集計を効率的に行えるだけでなく、法改正などに伴うコンプライアンスへの対応も迅速にできるようになるでしょう。
利用できるICカードの種類
勤怠管理システムでは出退勤の打刻にICカードが用いられることがありますが、ICカードの読み取りには以下の2つのパターンがあります。
①接触式ICカード
接点端末(いわゆるICカード)を読み込み端末に差し込むなどして読み取る方法です。確実に通信でき、高いセキュリティが求められるサービス企業などで導入されています。
②非接触式ICカード
接点端末と読み込み端末をタッチする形で読み取る方法のことです。例としては、交通系ICカードや電子マネー、マイナンバーカードなどです。
ICカードによる打刻では主に、②の非接触式ICカードが採用されています。メリットは、毎日持ち歩いている交通系ICカードや社員証などを登録することで、簡単に打刻用カードとして利用できる点です。
カードリーダーとは
現在、多くの勤怠管理システムがICカードによる打刻に対応していますが、打刻に際しては、ICカードリーダーが必要となります。ICカードリーダーは、ICカードの情報を読み取り、勤怠管理システムと連携してデータを引き渡す役割を果たします。パソコンにつなげて利用したり、壁に取り付けられるようなタイプもあるので、職場環境や打刻のしやすい方法を検討して選ぶとよいでしょう。
カードリーダーには接触型と非接触型があります。接触型の例として、カードリーダーに直接差し込むタイプがありますが、非接触型(パソリなど)はカードをかざすだけでデータを読み取ります。
注意点としては、ICカードの種類(通信規格)に合わせたカードリーダーを用意する必要があります。使用するカードの規格とカードリーダーが適合しているかどうか、しっかりチェックしておくことを忘れないようにしましょう。
ICカード打刻ができる勤怠管理システムのメリット・デメリット
ICカードによる打刻が利用できる勤怠管理システムには数多くのメリットがあります。しかし、運用においてはデメリットと思われる一面もあり、導入の際はそれらを十分に把握して検討する必要があるでしょう。作業の効率化、コスト、機能面など、従業員の働き方や環境に合わせ、慎重に勤怠管理システムを選択していきましょう。
メリット
<メリット1>タイムカードと同様に簡単に打刻できる
ICカードに記録されている識別番号から従業員を特定することができるため、新しくカードを用意しなくても、従業員がもともと所有している交通系ICカードや社員証、入館証などを登録して利用することができます。
対応しているカードリーダーさえ用意すれば、打刻時に特別な操作は必要ありません。これまでのタイムカードと同じような感覚で扱えること、交通系ICカードを使うときと同じ動作で済むことなど、煩わしさを感じることもないでしょう。
<メリット2>勤怠管理・集計業務を効率化できる
カードリーダーが読み取った打刻情報は、即時にシステムに反映され、自動的にシステム内で記録や集計処理に反映されます。紙の管理で発生していたカードの回収や更新、勤務時間の集計の手間を大幅に減らすことができます。また、労働時間をリアルタイムに把握できる点、正確な給与計算ができる点などメリットも大きく、飛躍的に業務効率が向上します。
<メリット3>タイムカードなど紙の管理コスト削減
これまでの紙による勤怠管理だと、書類の保管などに管理コストがかかっていました。しかし、システム化することでそれらを削減可能です。しかも、新たにICカードを発行する必要がなく、もともと従業員が所持しているICカードをそのまま利用できる点も、勤怠管理にかかるランニングコストを下げる点で有効といえるでしょう。
デメリット
<デメリット1>導入に手間やコストがかかる
ICカードによる勤怠管理を行うには、カードリーダーの設置が不可欠です。そのため、初期費用や、月額でのサービス利用料金など継続して費用がかかることも慎重に考慮すべきでしょう。
また、導入時の設定や社内で展開していく際には、担当者に業務負荷がかかります。実際に導入した後にどれくらい業務を効率化できるのか、あらかじめ試算して検討することはもちろん、スムーズな導入が実現するよう十分に計画を練っておきましょう。サービス提供会社によっては、代わりに導入効果の試算を行ってくれるところもあるので、まずは問い合わせてみることをおすすめします。
<デメリット2>在宅ワークに不向き
ICカードを専用のカードリーダーにタッチする必要があるため、カードリーダーがない場所での打刻はできません。そういった場合の打刻漏れを防ぐためには、外出先でも対応できるようなスマートフォン打刻を行っているサービスを選ぶとよいでしょう。
ほかにも、ICカードの紛失、ICカードの貸し借りによる不正打刻、情報漏えいなどのセキュリティ面など、システム管理ならではの対策が必要となるケースがあるので、注意が必要です。
ICカード打刻型の勤怠管理システムが適している企業とは?
従業員の多くが交通系ICカードを所持している場合、ICカードを用いた勤怠管理の導入は比較的スムーズに進められるはずです。そのほか、ICカードを活用することに適している企業とはどういうところなのか、以下に特徴をまとめてみました。
誰でも簡単に打刻できるシステムを求めている
従来のタイムカードのように、紙やエクセルによる勤怠管理を行っているような場合、複雑な作業が発生することがあります。近年は多くの人が交通系ICカードを所持しており、タッチレス決済に慣れ親しんでいる時代です。誰でもすぐに打刻できるICカードによる勤怠管理は、操作性を重視する現代にふさわしいシステムともいえます。
30名以上の規模の企業
オフィスに勤務する従業員が多ければ多いほど、打刻にかかるトータルの時間は増えていきます。紙のタイムカードによる管理なら、その置き場所、更新時の入れ替え、集計作業にも手間がかかるでしょう。これらをできるだけスムーズに行いたい企業では、ICカード打刻を活用するケースが増えているようです。ひとつの目安として、従業員数が30名以上の規模の企業の場合はICカード打刻が可能な勤怠管理システムの導入がおすすめです。
一人1台のパソコンの付与をする必要がない
工場勤務などの場合、一人1台のパソコンの用意を企業側がしていなかったり、あるいは1台のパソコンを複数人で共有していたりするようなケースはよく見られます。なかには、デスクワークではない職種の場合、パソコンやスマートフォンの操作が苦手という人がいるかもしれません。そのような人にとって、ICカードによる出退勤管理は操作が簡単なため、打刻ミスなども防げるでしょう。
ICカードを利用した勤怠管理システムの選び方
勤怠管理システムを選ぶ際には、導入にかかる費用はもちろん、機能面、サポート体制、セキュリティ面など、検討すべき要素は多岐にわたります。なかでも重要なポイントを以下に挙げておきますので、自社の業務環境と照らし合わせてみてください。
自社の勤怠管理の課題に対応できるか
従業員の勤怠管理においては、企業ごとに細かなルールが設けられています。従業員数、出退勤の時刻、正社員とパート・アルバイトの混在、給与設定の基準、各所の業務内容、支店・支社の有無など、企業の形態はさまざまです。
基本的には自社独自の業務ルールに対し、導入したい勤怠管理システムがそれらに対応しているか、社内ルールを遵守し、それに沿った運用ができるかどうかをリサーチしましょう。
そのほかに、必要な機能の洗い出し、システムを導入することによって自社の勤怠管理の課題が解決できるかどうかなど、あらかじめシミュレーションしておくことも大切です。
セキュリティ対策は実施されているか
従業員の個人情報は厳重に管理する必要があり、万が一にも漏えいがあってはいけません。ICカード打刻に従業員の交通系ICカードを活用する場合、そこにクレジット機能が付いているケースもあり、取り扱いには特に注意が求められます。システムを選択する際は、万全なセキュリティ対策が施されているかどうかについてもしっかり確認しておきましょう。
また、担当者がITやネットワークシステムに不慣れな場合、スムーズに運用開始できるサポートサービスを提供してくれるようなシステム会社もあります。そのような会社であれば、初期設定から運用まで協力して進めることができるのではないでしょうか。併せて、セキュリティ対策の充実度、導入後のサポート体制の有無などもしっかりチェックしていきましょう。
サポート対応は充実しているか
システムを提供する会社のサポート体制には、大きく2つの種類があります。ひとつは担当が専任で1名以上配置される「専任サポート制」、もうひとつはチーム全体で対応する「チームサポート制」です。また、サポート内容に関しても、メールによる回答のみとするところから、電話やオンライン会議を通じて具体的に課題を深掘りし、解決策や提案を提示してくれるところまでさまざまです。
システム会社によっては、サポート対応がオプションとなっている場合もあり、システムの利用料金は格安でもサポート自体が有料であるため、結果的に競合他社と同額になってしまって金額的なメリットがなかったなどというケースもあります。
事前対策として、具体的にどのようなサポートが受けられるか、レスポンスのスピードや対応法、サポート範囲、料金体系など、あらかじめ確認しておくことが大切です。
ICカード打刻にも対応!クラウド型勤怠管理システム「楽楽勤怠」
本記事では、勤怠管理システム運用におけるICカード打刻のメリット・デメリットを解説しました。ICカードは多くの人が所持し、出退勤時の打刻における取り扱いも非常に簡単です。しかし、接触・非接触に関わらずカードリーダーで読み取る必要があり、ICカードだけではテレワークや出張時の勤怠管理に対応しづらい面もあります。
このような課題を解決するために、株式会社ラクスが提供する「楽楽勤怠」は、ICカード打刻に対応するだけでなく、WEBブラウザやスマートフォンを使った打刻方法も選べます。これにより、在宅ワークや外出、出張が多い職種にも対応し、自社の働き方に合わせた柔軟な勤怠管理が可能です。
さらに、ITに不慣れな人でも安心して利用できるように、1社1名以上の専任サポート担当制を導入し、導入から運用まで丁寧に支援しています。
勤怠管理システムの導入を考えている方は、「楽楽勤怠」をぜひご検討ください。実際のシステム画面をもとに相談内容に応じた勤務形態や社内フローに合わせた運用の提案も行っておりますので、是非ともお気軽にお問い合わせください。
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- 監修楽楽勤怠コラム編集部
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