タイムカード勤怠管理は本当に非効率なのか?
従業員の勤怠管理の方法には、紙の出勤簿に記入する方法や、パソコンの使用時間のログなど客観的な時間で管理する方法、システムで管理する方法など、さまざまな手法があります。その中で、従業員が出勤・退勤する際にタイムカードを打刻する方法は旧来より広く普及してきました。その流れから、現在もタイムカード打刻を採用している企業は少なくありません。
実際、タイムカード打刻方式は簡易でコストもかからず、勤怠管理の基本スタイルともいえます。一方で、集計を手作業で行わなければならず、リアルタイムに勤怠状況が把握できないなど問題点も数多くあります。今回はタイムカードによる勤怠管理のメリット・デメリット双方を踏まえ、勤怠管理システム導入の利点について解説していきます。
この記事の目次
タイムカードによる勤怠管理、メリット・デメリット
出勤・退勤時に従業員自身がタイムカードを打刻する勤怠管理の方法は、比較的導入が簡単でコストがかからない等の利点がある一方で、企業規模や従業員の勤務形態によっては不都合な面もあります。タイムカードのメリット・デメリットを、以下で確認していきましょう。
メリット
タイムカードによる勤怠管理は、従業員の出勤・退勤時間を正確に把握・記録するために、これまで多くの企業で採用されてきた方法です。まずは勤怠管理をタイムカードで行うメリットについて見ていきましょう。
<メリット1>シンプルで簡単、誰でも利用できる
一般的なタイムカードは、従業員が出勤・退勤時に自分のカードをタイムレコーダーに差し込んで、そのときの時刻を打刻します。操作がシンプルでわかりやすいため、アルバイトの学生でも社会人1年目の従業員でも、スキルの有無にかかわらず誰でも直感的に利用することができます。また、従業員を新たに採用した場合、特にマニュアルなどを作成しておかなくても「口頭ですぐに教えることができる」という企業側のメリットがあります。
<メリット2>低コストですぐ導入可能
タイムカードによる管理を導入する場合、打刻機の本体と、従業員分のタイムカードを用意すればすぐに利用開始できます。また、新規で採用した従業員が増えた場合でも、その従業員分のタイムカードを増やせば足りてしまいます。高額なシステム改修などが不要のため、比較的低コストですぐに勤怠管理を始めることができるのも、大きなメリットといえるでしょう。
<メリット3>従業員が自己管理できる
タイムカードを自分で毎日の出勤・退勤時に打刻するので、従業員自身が自分の勤怠状況を把握しやすくなるというメリットもあります。
デメリット
一方、タイムカードによる管理にはデメリットもいろいろあります。
<デメリット1>勤務時間の集計に時間がかかる
タイムカードで打刻した出勤・退勤時刻をデータ化するためには、給与計算システムなどに別途手作業で入力する必要があります。このため、勤務時間を1か月分集計して給与計算をするまでに時間がかかります。また、人の手で入力を行う際に転記ミスをするリスクもゼロではありません。労働時間を間違えば給与の計算結果にも影響が及ぶので、場合によっては給与の過少・過剰払いが発生し、その修正の手間もかかることになります。
<デメリット2>なりすましによる打刻ができてしまう
タイムカードは機械にカードを挿入すれば誰でも打刻できてしまいます。このため、AさんのタイムカードでBさんが打刻しても不正があったかどうかの検証が困難であり、不正打刻の温床となるリスクがあります。
<デメリット3>打刻後の訂正・確認が煩雑
故意ではなくても、出勤と退勤を押し間違えてタイムカードを打刻してしまうことはありえるでしょう。また、退勤時にタイムカードの打刻を忘れ、そのまま帰宅してしまったというようなケースも考えられます。このような場合、タイムカード上の時刻と実態とが一致していないため、本当の出勤・退勤時刻がいつなのかを逐一確認しなければなりません。
従業員自身の申告がなければ、事態の発覚は月締めの後になってしまいます。そのため、給与計算前の多忙な時期に事実確認をしなければならないという、人事担当者にとって煩雑な手続きが発生する可能性があります。
<デメリット4>5年間の保管義務がある
タイムカードで勤怠を管理している場合、企業は労働基準法上タイムカードを5年間保管する義務が課せられています。破棄・紛失してしまった場合は違反として処罰されるリスクもあるので、全従業員分のタイムカードを5年間適切に保管する必要があります。
また、紙のタイムカードはデータのバックアップが難しく、紛失や破損のリスクがあります。さらに、長期間の保管が必要なため物理的なスペースも必要で、管理コストがかかるという点もデメリットとなります。
<デメリット5>本社への連携に時間がかかる
日々の勤怠管理は事業所単位で行っているものの、給与計算をまとめて本社で行っている企業の場合、締め日でタイムカードを締めた後に本社宛てにタイムカードを発送する手間がかかります。また、本社側でもタイムカードを回収してから給与計算が完了するまでに時間がかかる、というデメリットがあります。
<デメリット6>長時間労働・残業の温床になる
タイムカードは基本的に打刻する従業員本人にしか出勤・退勤時間がわからず、上司や人事担当者はリアルタイムに従業員の労働時間を把握することができません。そのため、日々の勤怠を承認するフローを構築することが困難です。また、1か月分を締めてからはじめて長時間労働や残業の実態が明らかになることもあります。事前に検知できなければ長時間労働を予防することが難しく、結果として残業の温床になるリスクがあります。
<デメリット7>リモートワークや柔軟な働き方への対応が難しい
タイムカード管理は従業員が出社して打刻することを前提としているため、近年増えているリモートワークや、勤務地がフレキシブルな働き方の従業員については対応が難しいといえます。
タイムカード管理が向いている企業の特徴
タイムカードによる勤怠管理が自社に合っているのか、それとも勤怠管理システムを導入すべきなのか、これまで見てきたメリット・デメリットを踏まえて検討してみましょう。
以下では、タイムカード管理が適している企業の特徴を見ていきます。自社が当てはまっているかどうか、ぜひ参考にしてください。
従業員数が少ない
タイムカード方式は一般的に給与計算システムなどにデータが連動されないため、労働時間の算出にあたっては、別途給与計算システムなどに労働時間を手作業で打ち込む必要があり、非常に手間がかかります。このため、大人数の従業員を抱える企業の場合はデータ入力の工数が圧迫するため、タイムカードによる勤怠管理は不向きです。
逆に、従業員数が少ない(おおむね30名以下程度)の企業であれば、工数を割いて作業することでカバーできると思われます。
タイムカードで管理を続けるか、あるいは勤怠管理システムを導入するかどうかは、自社の従業員の規模と、データ入力等の工数をどこまで充てられるかを比較検討することがポイントといえます。
在宅ワークを行っていない
タイムカードによる勤怠管理は、具体的にはオフィスの入り口付近などに打刻機を設置し、従業員が出勤や退勤する際に自分のタイムカードを挿入して打刻することで、勤怠管理を行います。このため従業員がオフィスに出社して、自身で出勤・退勤時にタイムカードを打刻することが前提となります。
在宅勤務を行っている従業員が多かったり、日によって就業先が異なる柔軟な働き方をしている従業員がいたりするようなケースでは、そもそも出社を前提としない働き方であることから、タイムカード打刻による勤怠管理は不向きといえます。
逆に、従業員のほとんどが在宅勤務をせずに出社しているような職場環境であれば、タイムカード打刻方式でも問題はないと考えられます。
勤務形態がシンプルで、急な出勤や残業なども発生しない
タイムカードによる勤怠管理は、出勤時と退勤時に従業員が打刻することで「出勤・退勤時刻を記録し労働時間を把握する」というシンプルな方法です。このため、基本的には従業員が出勤から退勤まで同一の事業所にて就業することを前提としています。もし、途中で別の事業所へ移動して仕事をしたり、在宅勤務に切り替えたり、途中で中抜けをしたりといったイレギュラーな働き方の従業員がいると、勤怠管理はかなり困難になってきます。
一方、従業員がみな出社・退勤時間の定時が決まっており、急な出勤や残業が基本的には発生しないような就業形態の場合は、タイムカードによるシンプルな労働時間管理でも問題はないでしょう。
残業管理や有休などの休暇管理が不要
タイムカードは「出退勤の時刻を記録する」シンプルな管理方法のため、「残業時間が何時間積み上がっているのか?」、また「有休の残日数がどのくらいなのか?」などをタイムリーに把握できているわけではありません。そのため、月の締め日にならないと残業時間の総数や有給取得日数がわからないこともあります。
残業が日常的に発生しているような職場だと、いつの間にか「36協定に定める上限時間を超えてしまっていた…」などということがあるかもしれません。36協定に定める上限時間を超えて従業員を働かせることは、労働基準法違反として罰則の対象となりますので、非常にリスクが高いと考えられます。
逆に、「残業がほとんど発生しない」「発生してもごくわずか」という職場であれば、勤怠管理はタイムカードでも十分ということになります。
勤怠管理システムで正確な勤怠管理を
タイムカードによる勤怠管理には、それが適している企業とそうでない企業があります。もし、これまで見てきた特徴を踏まえたうえで、自社がタイムカード管理に向いていないという場合は、ほかの管理方法を検討することが必要です。ここでは勤怠管理システムを導入するケースについて紹介します。
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは、従業員の出勤・退勤の記録および勤怠実績管理を一括してシステムで行うものです。
企業が正しく給与を計算するためには、前提として勤怠実績を正しく把握しておく必要があります。かつての日本では紙の出勤簿による従業員の自己申告や、タイムカードを打刻して出勤・退勤の時間を把握する方法が広く採用されていました。
しかし、働き方改革など長時間労働を抑制する動きや、在宅勤務の普及等による働き方の多様化などを背景とし、よりリアルタイムに、かつ適切に勤怠を把握することが企業に求められるようになってきました。特に、2019年の労働安全衛生法改正により「客観的方法による労働時間把握」が企業に義務化されたことが大きなインパクトを与えました。
そこで、従来の紙やタイムカードによる運用から、勤怠管理システムの導入へと舵を切る企業が増えています。
主な機能
これまで紙やタイムカードによる勤怠管理を行ってきた場合と、勤怠管理システムが備えている機能による管理とで大きく異なる点は以下のとおりです。
<機能1>リアルタイムで把握できる
出退勤状況やシフトの管理、打刻のエラー有無、有給残日数の確認など、個々の従業員ごとの勤怠状況がリアルタイムで把握することができます。設定次第でアラートを発することができるシステムもあり、働きすぎを予防することが可能です。
<機能2>時間・場所を選ばず申請・承認・確認できる
従業員は、パソコンやスマートフォンからシステムにアクセスして申請することができます。また、管理者側としても時間や場所を選ばず承認や確認をすることができます。
<機能3>データ出力・集計が簡単
システムで一元管理・自動集計をするため、これまでかかっていた転記・入力・計算の手間はありません。また、「変形労働時間制」や「時短勤務」といった雇用形態ごとに勤務時間を集計することも可能です。
<機能4>有給休暇取得状況等の把握が可能
出退勤の時刻だけでなく、有給休暇や代休、振休の管理を行うことも可能です。有給休暇については半日単位・時間単位で取得させている場合など、企業のルールに合わせてカスタマイズすることもできます。
<機能5>給与計算システム連携
勤怠管理システムで集計された勤怠データを給与計算システムと連携することで、給与計算がスムーズに行えます。これにより、手作業による集計ミスや入力ミスを防ぎ、業務効率を大幅に向上させることができます。
勤怠管理システム導入前に注意するポイント
勤怠管理システムといっても、その機能やサポート内容はサービスを提供する業者によってさまざまです。本当に自社に必要な機能や体制が構築できるのか、スムーズに運用し続けることができるのかなど、導入成功に向けてあらかじめ注意すべきポイントをチェックしてみましょう。
勤怠管理で解決したい課題に対応できるような機能はあるか
便利な勤怠管理システムですが、「どれでもいいからとにかく導入すればすべて解決」というわけにはいきません。
勤怠管理といっても、企業によってそもそも雇用形態や社内ルールは異なります。「雇用形態は正社員だけなのか」「非正規雇用の従業員は多いのか」「在宅勤務や裁量労働制、時短勤務の従業員がいるのか」「複数の拠点がある場合、その勤怠管理をどこの部門が行っているのか」など、自社独自のルールも多いはずです。
勤怠管理システムを導入することで自社のルールに即した運用ができるか否かは、まずは自社のルールとそのシステムの内容をよく調べるところから始めてみましょう。
「システム導入で自社の抱える勤怠管理の課題は解決できるのか?」という視点で検討してみるとよいでしょう。
セキュリティ対策ができており、常にアップデートされているか
システムによって勤怠を一元管理する場合、従業員の情報はWeb上に置いておくことが前提となるため、セキュリティは大事なポイントです。システム導入前には、「サーバーがどこに置かれているか」「セキュリティ対策はどうなっているのか」「対策はアップデートされるか」「万が一の場合はどのような補償があるのか」など、しっかり確認を行いましょう。
また、セキュリティ対策について、もし社内に適切なIT部門がない場合は、セキュリティ面での継続的なサポートが得られるかどうかも併せて確認しておきましょう。
導入サポート対応が充実しているか
システム導入の際に十分なサポート対応があるかどうかも大切なポイントです。
特に、これまで紙媒体やタイムカードによるアナログ管理を行ってきた企業の場合、デジタルへの切り替えのハードルが高いこともあるかもしれません。そんなとき、導入にあたってサポート体制がしっかりしていれば安心です。
サポート体制といっても、システム提供会社によっては専任で担当が1名以上つく専任サポート制の場合と、チームで対応するチームサポート制があります。また、サポート体制の具体的な中身については、質問に対してメールで回答してもらうのみパターンから、コンサルのように社内の問題点をヒアリングし、課題解決の提案までしてくれるものなど、対応はさまざまです。
それらはシステム利用料の中に含まれているのか、オプション料金なのかといったコスト面だけでなく、疑問に対する回答までのレスポンスなどはサービス提供会社によって異なります。システムの機能面だけでなく、どの程度のサポートが必要なのかも洗い出して検討することをおすすめします。
クラウド型勤怠管理システム「楽楽勤怠」
ここまで、タイムカードによる勤怠管理のメリット・デメリットや、適している企業の特徴について解説しました。タイムカードはシンプルで低コストですが、手作業による集計や不正打刻のリスクなど、いくつかの問題点があります。
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