なぜ勤怠管理が必要なのか?勤怠管理システム導入の目的と意義
働き方改革が進むなか、労働基準法において勤怠管理は企業の責務とされていることから、企業には勤怠管理を適切に行い、コンプライアンスを徹底していくことが成長に欠かせません。とはいえ、現実に各企業が行っている勤怠管理の方法には、未だに手作業の勤怠管理が担当者の過重労働に繋がっているケースも見受けられ、そのため勤怠管理業務の効率化が見込める勤怠管理システムの導入を検討する企業が増えています。本記事では勤怠管理システムの必要性、その導入目的と意義について詳しく解説していきます。
この記事の目次
勤怠管理システムとは? 導入の目的
勤怠管理システムとは、勤怠管理業務全般を自動化するシステムのことです。テレワークやフレックスタイムといった勤務スタイルのみならず、正社員・アルバイト・パートなど雇用形態も多様化するなか、手作業で正確な勤怠管理を行うのはかなり手間のかかる業務となります。また、従業員の数が多ければ多いほど人為的ミスの発生リスクも高まり、担当者にかかる負担は増える一方です。労働時間の削減は働き方改革で大きな課題となっている今日、勤怠管理システムの導入によって担当者の業務効率化を図ることができれば、労働時間の削減だけでなく、本来の業務に専念することができるようになるでしょう。
勤怠管理の意義
日本における勤怠管理の歴史は古く、江戸時代にはすでに大規模な店舗で帳簿を用いた勤怠管理が行われていました。戦後は多くの企業でタイムレコーダーが導入され、現在も一般的な勤怠管理のツールとして用いられています。時代がどう変わろうと、勤怠管理を行う意義は大きく、「正確な勤怠情報の取得による賃金支払い」や「従業員の健康管理のための労働時間把握」は企業の責務です。さらに近年では、「従業員の有給休暇取得状況と管理」、また「コンプライアンス遵守」も重要となっています。
特に時間外労働に関しては、労働基準法により「月45時間・年360時間」の上限規制が定められ、これに違反すると罰則が科せられる可能性があります。過重労働に関する法律は今後ますます厳しくなることが予想されるなか、従業員の正確な労働時間を把握するための体制構築は、企業にとって喫緊の課題といえるでしょう。
また、企業が法令違反を繰り返していると、企業のイメージダウンや人材確保の面での悪影響も懸念されます。こうしたさまざまなマイナス要素を未然に防ぐ上で、正確かつ効率化が期待できる勤怠管理システムの導入が求められています。
勤怠管理システムの主な機能
業務効率化のために、企業内で勤怠管理システム導入を検討している担当者は多いことでしょう。勤怠管理システムにはさまざまな機能が備わっていますが、ここでは主要なものについて紹介していきます。
出退勤情報の記録とリアルタイムな把握
出社しないと出退勤時刻を打刻できないタイムカードに比べ、就労環境や勤務形態に左右されずに出退勤情報を記録できる勤怠管理システムの機能は、従業員にとって魅力のひとつです。たとえば、ICカードや生体認証などによる打刻が可能なほか、テレワークや出張などで出社しない場合でも、従業員はパソコンやタブレットで自分の出退勤時刻を打刻することが可能となります。
また、管理者側の立場で見れば、従来の紙のタイムカード打刻で行われているような締め日のカード回収と集計が不要となり、従業員の出退勤情報をリアルタイムに把握することができるため、万が一トラブルがあった際でも迅速に対応できるのが大きな特徴です。
勤怠状況の自動集計、給与計算への反映
勤怠管理システムがリアルタイムに把握できる内容は、出退勤情報だけではありません。従業員の勤務時間や残業時間はもちろんのこと、有給休暇の消化状況や休日出勤などに対する多くの自動集計機能を有しています。勤務形態や雇用形態が多岐にわたる場合でも、個別の設定を行うことで複雑な集計に対応しています。さらに、これらの集計を給与計算システムとデータ連携できる製品を選べば、これまで給与計算にかかっていた時間と労力を削減することができます。
打刻ミスや残業超過などへの警告
タイムカードによる勤怠管理では、打刻漏れや不正打刻の問題を完全に防ぐことは困難です。その点、勤怠管理システムにはアラート機能が搭載されているため、打刻に関わるミスを未然に防ぐことができます。また、アラート機能には残業が超過しそうな従業員への通知設定ができるものがあり、本人だけでなく管理者への通知設定も可能であるため、36協定などの法律遵守に役立てられます。こうした細やかなチェックが自動で行えるシステムは、日々の忙しさから部下の労務管理に手が回らない上長・管理者にとって心強い味方といえるでしょう。
休暇の申請・承認
出張が多い企業や複数拠点のある企業の場合、さまざまな申請書類の処理がアナログな方法のままだと追いつかないこともあるでしょう。しかし勤怠管理システムを導入すれば、従業員の申請だけでなく上長や管理者の承認もシステム上で完結可能です。従業員にとっては休暇届けを出すためだけに出社する必要がなく、管理者もハンコを押すためだけに出社しなくて済みます。遠隔承認を前提としたワークフロー機能を備えていることは、勤怠管理システムの大きな強みです。
法改正へのスムーズなアップデート
働き方改革関連法に伴うさまざまな法改正に適切に対応するには、手作業による勤怠管理ではどうしても限界があります。知らず知らずのうちに法令違反を犯してしまうような可能性もあり、最悪の場合はペナルティの対象になります。一方、勤怠管理システムの場合は法改正に対して自動的にアップデートが行われるため、そうしたリスクを未然に防ぐことができます。
シフト管理機能
企業の規模に関わらず、従業員のシフト管理は労務担当者にとって業務負担の大きい作業のひとつです。勤怠管理システムにはシフトの調整から作成、および管理機能を搭載しているものが多くあり、なかには人数の過不足などが一目でわかる柔軟な設定が可能なシステムもあります。接客や販売、製造現場など、特に日常的に細やかな人員調整が求められる部門においては、管理担当者の業務負担を軽減する強力なツールになり得るでしょう。
工数管理機能
従業員の労働に関するさまざまなデータを集積するだけでなく、労働時間の分析を行って日々の仕事に反映させていくことができるというのも勤怠管理システムの大きな特徴です。たとえば、作業やプロジェクトに関する工数管理機能はそのひとつです。適切に工数管理機能を運用することで、生産性向上やコスト削減をはじめとした業務効率化が可能になります。
勤怠管理システム導入のメリット・デメリット
有用な機能を搭載している勤怠管理システムの導入は、従業員の労務管理・勤怠管理業務に多くのメリットをもたらします。ただし、企業規模や企業内環境によっては、必ずしもメリットを享受するばかりではないというケースもあり得ます。勤怠管理システム導入のメリット・デメリットについて整理してみましょう。
導入のメリット
労務担当者の業務効率化
従業員の出退勤時刻や労働時間のチェックといった勤怠管理業務が自動化されるため、手作業に比べて大幅に時間削減できる点が第一のメリットとして挙げられます。フレックスタイム制やテレワークなどの複雑な就業形態に対しても、個別設定により簡単に労働時間の集計が可能です。給与計算ソフトとデータを連携できるシステムを選定すれば、さらなる業務効率化に繋がることでしょう。
適切な労働時間の管理体制を構築できる
勤怠管理システムを使用して従業員の出退勤時刻を管理する場合、従業員それぞれに付与されたパソコン、ICカードやスマートフォンなどを活用して打刻を行うのが通常です。これは打刻漏れや不正打刻の防止に資するだけでなく、システムを通じて従業員から打刻申請を受けることから、法的義務として企業に求められている「客観的な記録による労働時間の把握」にも結び付きます。
労働基準法などの法律違反を防げる
タイムカードを用いた勤怠管理の場合、カードを回収して集計しないとトータルの労働時間がわからないため、事前に長時間労働を把握して過重労働を防ぐことは困難です。一方、勤怠管理システムでは従業員の残業時間をリアルタイムに把握できるので、該当する従業員に対して適切な対応を取ることが可能です。残業規制や従業員の健康を守ることが重要視されている今日、労働基準法などの法律違反を回避できることは勤怠管理システム導入の大きなメリットです。
法改正にタイムリーに対応可能
労働時間に関する法改正は各企業の勤怠管理に大きく影響を及ぼしますが、働き方改革の下でその傾向はさらに強まっています。法改正が行われるたびに企業は出退勤管理のルールや方法を調整する必要に迫られ、手作業では対応が間に合わなくなるケースも考えられます。多くの勤怠管理システムでは、システム提供会社によって、法改正に対してタイムリーに自動アップデートを行っているため、担当者側での法対応業務は軽減されます。
残業管理で従業員の働きやすい環境づくり
手作業による勤怠管理では集計するまで労働時間がわからないため、残業管理対応が遅れがちです。その結果、長時間労働が常態化し、過重労働となって従業員の健康状態に影響が及んだり、36協定違反をしたりするようなことがあれば、法律違反や賃金未払いへの対応、その後の人材確保の面で多大なリスクが生じます。勤怠管理システムの導入によってシステム内に労働時間のデータを蓄積していれば、リアルタイムに残業が多い部署や従業員を把握しやすくなるため、事前対策がスムーズに行えます。
労働生産性を上げることができる
労働生産性とは、労働者一人あたり、または1時間あたりでどれだけ成果を生み出したかを数値化したものです。業務過多になっている部署や従業員を放置していては、とても労働生産性を上げることはできず、場合によっては離職につながり、人手不足を招くなど、労働生産性が低下する悪循環に陥ってしまいます。勤怠管理システムに搭載されているアラート機能を活用すれば、従業員の労働状況の見える化が実現でき、即時に適切な業務改善の見直しができるため、労働生産性の向上も可能となることでしょう。
導入のデメリット
導入の負荷が大きい
勤怠管理システムは、契約後すぐに利用開始できるものではありません。初期設定やデータ入力、従業員への周知など、正規の運用に至るまでに担当者の労力が必要です。また、システムの費用にはかなりシステム提供会社によって幅があります。導入に際しては少なからずコストがかかることはあらかじめ念頭に置いておく必要があります。
システムによって管理方法が自社のルールにそぐわない
就業規則や働き方のルールは企業ごとに異なるため、システムによっては自社の状況に対応しきれないケースも考えられます。その際、システムのカスタマイズが必要ですが、別途費用の発生や対応策の構築、場合によっては一部手作業で業務を継続する必要が出てくるなどに注意しなければなりません。
使い勝手の問題で社内になかなか浸透しない
勤怠管理システムは、管理者だけでなく全従業員が日常的に使用するものです。したがって、管理者が使いやすくても従業員が使いにくければシステムが定着せず、その有効性を発揮させることができません。操作ミスなどのトラブルが続けば、正確な労働集計データが行えず、かえって余計な手間やコストがかかってしまう可能性があります。
費用対効果が見えづらい
勤怠管理システムを導入する主な目的は業務効率化であるため、売り上げの向上のように費用対効果がすぐに実感できるものではありません。初期費用やランニングコストに対して導入前後で予想される作業時間の削減工数、ミスの軽減や不正の防止、労働環境の整備による企業イメージの向上が見込めるかなど、システム導入に際しては費用以外のメリットを勘案して検討する必要があるでしょう。
勤怠管理システムを導入する前に
これまで勤怠管理システムを導入する目的や意義、メリット・デメリットなどを見てきました。さらに勤怠管理システムを導入する前に、チェックしておきたいポイントを紹介します。
導入目的を明確にする
「残業時間を減らしたい」「テレワークを導入するため、対応できる体制を構築したい」など、課題は企業によって異なります。自社の勤怠管理の課題を洗い出し、勤怠管理システムを導入することで解決できるのかどうか、目的を明確にしておくことが大切です。
導入コスト、運用コストを検討する
勤怠管理システムには多くの機能が搭載されていますが、自社の課題解決が叶えられるかどうかの見極めが大切です。たとえば、給与システムとの連携やデータ出力の有無、フレックスタイム制やテレワークへの対応が可能であるか、カスタマイズの際の費用がかかるかどうかなど、あらゆる角度から導入コストと運用コストを検討し、慎重にシステムを選びましょう。
勤怠管理システム選定のチェックポイント
勤怠管理システムを選ぶ際に注意すべきポイントを踏まえてシステム選びを行うことは導入後のスムーズな運用につながります。ここでは5つのポイントについてそれぞれを解説していきます。
自社の勤怠管理フローにあった機能が搭載されているか
勤怠管理システムの導入を検討する際には、自社の課題解決に必要な機能が搭載されているかをチェックしましょう。残業や有給休暇の管理、自社の就業規則や現状の勤怠管理フローどおりに対応できるかどうかなど、その項目は多岐にわたります。
クラウド型かオンプレミス型か
勤怠管理システムには、大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。比較的コストが安く、インターネット環境さえあれば接続して使用することのできる「クラウド型」が現在の主流といえますが、セキュリティ面の強固さから、多少コストをかけてもサーバーを自社に置いて自由自在にカスタマイズできる「オンプレミス型」を選ぶ企業も少なくありません。どちらのタイプが自社の実情に合っているのか、運用コストと照らし合わせて判断することが大切です。
給与計算システムなど他システムと連携できるか
給与計算システムをはじめ、自社と契約しているほかのシステムと連携できるかどうかも、勤怠管理システムを選定する上で大切なポイントです。勤怠管理を一元管理することのできるシステムを選べば、大幅なコスト削減ができる可能性があります。
従業員にとって使いやすいかどうか
通常、勤怠管理システムはすべての従業員が使用するものなので、従業員が使いやすいかどうかも大切な選定ポイントです。最近は外国人労働者を雇用するケースも増えているため、説明書のマニュアルが多言語に対応可能かどうかも重要になっています。システム導入後の混乱を未然に防げるよう、担当者はあらゆる状況を想定した上で、自社に適したシステムを選びましょう。
セキュリティや導入後のサポート体制はどうなっているか
従業員の使いやすさとも関連することですが、セキュリティが行き届いているかどうか、また導入後のサポートの手厚さは勤怠管理システムを問題なく運用していく上で欠かすことのできないポイントです。特にITシステムの導入に不慣れな担当者の場合、サポートの質がシステムのスムーズな導入や運用に影響することが多いでしょう。サービスを提供する会社の対応の迅速性や休日対応が可能かどうか、追加費用の有無などについても漏れなく確認していきましょう。
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