パート・アルバイトの勤怠管理の課題とは? 勤怠管理システム導入のメリットを解説
パートタイム労働者(以下パート)やアルバイトなど、正社員と異なる雇用形態の従業員を採用している企業は多く、特に販売や飲食系などの業態はその割合も多いとされています。また、パートやアルバイトは勤務時間や時給がバラバラで、細かくシフトを組む必要があるなど勤怠管理が複雑になっているケースもよく見受けられます。従来のタイムカードやエクセルを利用した勤怠管理では、こうした作業はどうしても煩雑になりがちです。そこでおすすめなのが、クラウド型勤怠管理システムの利用です。本記事では、パート・アルバイトの労働者を多く抱える企業における、勤怠管理システムを導入することのメリット・デメリットなどについてお伝えします。
この記事の目次
パート・アルバイト従業員の勤怠管理の課題とは
パートやアルバイト(非正規雇用)は正社員(正規雇用)とは異なり、働く日や時間帯、時給の金額がまちまちに設定されているなど、雇用形態の違いが多岐にわたります。それゆえに、一律のパターンで勤怠管理を行うのは困難な点に課題を感じている労務担当者は多くいることでしょう。まず、その課題について具体的に説明します。
勤務時間や時給が人によって異なる
パートやアルバイトで働く場合、勤務時間や時給は人によって異なることが少なくありません。このようなバラつきが原因で、給与の計算が煩雑になります。特に複数の給与形態が存在する場合は、計算ミスを防ぐためにも細心の注意が必要です。
また、シフトが早朝や深夜に及ぶような場合は、割増計算も発生するため、さらに給与計算が複雑となります。
このように、勤務時間や時給がバラバラなパート・アルバイトの勤怠管理には、正社員と比べてより精細な管理が求められてきます。
煩雑な勤務時間のシフト作成
パートやアルバイトで働く人は、勤務する曜日や時間帯なども従業員によってさまざまです。従業員を管理する側としては、柔軟かつ複雑なシフト管理が求められます。
また、勤務時間が個々で異なるため、シフトの調整や変更が頻繁に発生します。これにより、管理する側としては調整作業が増え、勤怠管理の難易度はより高くなってきます。
所得制限の壁
年間収入が一定額を超えると、税制負担や社会保険料などに関する控除が変動することがあります。いわゆる所得制限の壁と呼ばれるものですが、パートやアルバイトで働く人の中には、扶養の範囲内に収めたいという希望から調整が必要な人も少なくありません。
所得税のほか、給与所得控除、住民税の非課税限度額、社会保険加入のライン、配偶者控除および配偶者特別控除にも影響してくることになってくるので、その制度をよく理解した上で計画的にシフトを組むことが求められます。
勤務時間の不正申告のリスク
実態と異なる勤務時間を労働者側が不正に申告してくるリスクもあります。実際には働いていないのにその時間を働いたように申請することで「実際の勤務時間より多い時間数を報告する」、またいわゆるシフトの水増しや早退・遅刻を隠ぺいするために「出退勤時間を改ざんする」などがこれに当たります。これが許されると、本来働いていない時間にも給与を支払うこととなり、会社にとっては損失となります。
パート・アルバイト従業員と正社員の勤怠管理はどう違う?
まず前提として、パート・アルバイト(非正規雇用)も正社員(正規雇用)も労働法における「労働者」であることに変わりはなく、法律の規定が等しく適用されることは踏まえておかなければなりません。その上で、正社員やパート・アルバイトといった雇用形態に関わらず、勤怠管理はすべての従業員に対して実施する必要があります。
ただし、パートやアルバイトの場合は時給制であることや、勤務時間がシフトによって変動することなどから、勤怠管理の手間は正社員よりも複雑になってきます。
正社員とパート・アルバイトを給与体系や勤務時間などで比較すると、以下の表のようなケースが一般的です。
バート・アルバイト | 正社員 | |
---|---|---|
一般的な給与体系 | 時給制 | 月給制 |
勤務時間 | シフトで決めることが多い | 9~18時など固定的なことが多い |
雇用期間の定め | あり(期間満了で退職または更新) | なし |
有休休暇 | 要件を満たせば付与される | 要件を満たせば付与される |
福利厚生 | 受けられないことがある | 手厚いことが多い |
このような雇用状況の違いから、正社員とパート・アルバイトそれぞれにおける勤怠管理の課題を整理してみましょう。
パート・アルバイト従業員の勤怠管理
パートやアルバイトは、シフト勤務による時給制が一般的です。決められた曜日に定時に働くなど固定勤務のケースもありますが、いずれにしても基本は時給制です。そのため、勤務時間に応じた給与計算が個々の従業員ごとに必要となり、複雑さが増すことになります。もちろん、勤務時間を超過した場合の割増計算も発生します。
また、勤怠管理の担当者にとっては、シフトを組むという作業工程が加わってきます。労働基準法の範囲内で働きたい希望日や時間帯を個別にヒアリングし、さらにほかの従業員の労働時間帯を勘案した調整が必要になってくるなど、勤怠管理の負担は正社員のケースよりも大きくなる傾向にあります。
正社員の勤怠管理
正社員の勤務時間は比較的固定的です。もちろん残業や休日出勤、出張などイレギュラーな労働が発生することもありますが、毎日の労働が不規則な時間で行われるような就業形態は少数といえます。給与についても固定給がベースとなり、月内の労働状況によって割増分が計算され、支払われることになります。
したがって正社員の場合、パート・アルバイトと比較すると残業時間や有給休暇の管理などは労働基準法に即した形で求められるものの、勤怠管理業務自体はそれほど複雑なものではありません。
勤怠管理の基本知識を改めて確認
このように、パート・アルバイトといった非正規雇用で働く人の勤怠管理については、さまざまな課題があります。この課題を解決する前提として、そもそも勤怠管理の基礎知識について改めて確認しておきましょう。
労基法では、いわゆる「法定4帳簿」として、勤怠管理にまつわる重要書類である①労働者名簿、②賃金台帳、③出勤簿、④年次有給休暇管理簿を整備し保存することとされています。この中でも、勤怠管理に関して特に重要な「出勤簿」と「年次有給休暇管理簿」について見ていきましょう。
出勤簿の役割
出勤簿とは、従業員の勤務状況を正確かつ詳細に記録するための重要なツールです。これにより、企業や組織は労働時間の管理や給与計算、法令遵守などを効率的に行うことができます。
出勤簿については法定のフォーマットがあるわけではありませんが、賃金台帳管理にあたって出勤簿の情報が必要となるため、以下の項目は記載したほうがよいでしょう。
- ●出勤日・労働日数
- ●出退勤の時刻
- ●日ごとの労働時間数
- ●時間外労働を行った日付・時刻・時間数
- ●休日労働を行った日付・時刻・時間数
- ●深夜労働を行った日付・時刻・時間数
これらを適切に記録することで、企業は労働時間を正しく把握し、正しく給与計算を行うことができるようになります。また、労働時間を確認して、法令がしっかり守られているかどうかのチェックを行う上でも重要な書類といえるでしょう。
年次有給休暇管理簿の役割
年次有給休暇管理簿は、従業員の有給休暇の取得状況を記録・管理するものです。有給休暇は正社員・パート・アルバイト等雇用形態を問わず、一定の条件を満たせば労働者に与えられる権利であるため、すべての労働者について把握することが大切です。
年次有給休暇管理簿に個々の労働者の取得状況や残日数を記録しておくことで、取得状況を可視化することができます。2019年の労基法改正により年次有給休暇の5日以上の取得が義務化された現在、もし休暇取得ができてない従業員がいた場合は取得を促す等の対策につなげ、法令遵守を実現することができるのもポイントです。
自己申告やタイムカード、エクセルなど従来型勤怠管理の問題点
勤怠管理のやり方についてはさまざまな手法がありますが、出勤簿をつけて自己申告するものや、タイムカードを打刻するもの、エクセル入力するものなど、いわゆる従来型の手法についてはいくつか問題点があります。以下、具体的に見ていきましょう。
データの正確性に不安がある
自己申告制であったり、従業員側による手入力によって打刻時間を記録することになるため、どうしても記入ミスや計算ミスなどが発生しやすくなります。また、ミスだけでなく改ざんも可能であり、勤怠データの正確性にも問題が生じてしまう可能性があります。
労働時間をリアルタイムに把握できない
従来型の管理方法では、1か月分を締めてから計算するため、結果的に長時間労働が発生していたことが後からわかるケースもあります。個々の従業員がどのような働き方をしているかをリアルタイムに把握できないと、36協定違反などのリスクを抱えることとなります。
記録・集計・計算の工数がかかる
転記や集計を手入力で行うため、多大な工数と時間がかかります。また、転記する度に入力した内容と原本とを突き合わせて確認する作業なども発生します。
特に、従業員の人数が多い企業であれば、なおさら手間がかかってくるでしょう。
法令違反のリスクがある
1日8時間、週40時間を超える残業が発生する場合は、36協定を結び、かつ適切な残業代の支払いが必要になります。手入力・手計算だと前述のように計算ミスが起こりやすくなるため、結果的に賃金未払いなどの法令違反のリスクが出てきます。
タイムカードの保管が必要
紙の出勤簿やタイムカードを管理する場合は、物理的な保管スペースが必要となります。また、紛失リスクもゼロとはいえません。
アルバイトの勤怠管理に勤怠管理システムを導入するメリット
パート・アルバイトのように非正規雇用で働く従業員の勤怠管理には、さまざまな問題や困難があることがわかりました。特に従来型の勤怠管理制度を採用している企業の担当者の場合、もう少し工数や時間を削減できないかと悩んでいる方がいるかもしれません。
そこでおすすめしたいのがクラウド型勤怠管理システムの導入です。
クラウド型勤怠管理システムとは、クラウドサーバー上で勤怠記録を管理するシステムで、個々の従業員の勤怠データはリアルタイムにサーバーに記録され、そのデータは24時間システム上で確認することが可能です。また、クラウド型勤怠管理システムであれば、記録された勤務実績を元に集計・計算が簡単にできるため、法令遵守の観点からも安心です。
勤怠管理システムを導入するとどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
<メリット①>出退勤時の打刻方法が多様
紙のタイムカードによる勤怠管理では、出社して打刻する・出勤簿に記入するなど、その場に行かないと記録できないケースもありましたが、勤怠管理システムを利用することで場所の制約はなくなります。たとえば、パート・アルバイト従業員が持っているスマートフォンからシステムにアクセスして打刻することも可能です。
また、システムによってはGPS機能が搭載され、従業員が打刻した時刻や場所を指定することができる場合もあり、より精度の高い勤怠管理が可能となっています。
<メリット②>リアルタイムに勤怠状況が把握できる
従来の勤怠管理では、月末に勤怠を締めた後に集計を行うため、従業員の勤務状況をすぐに把握することが困難でした。しかし、勤怠管理システムでは、打刻のたびにデータが更新されるため、リアルタイムで従業員の勤務状況を確認することが可能となります。
<メリット③>自動集計により給与計算のミスが防げる
これまでの勤怠管理の方法で給与計算を行う場合、出勤簿やタイムカードから転記し、データが正しく記述されたかどうかを照合してから集計に移るなど、非常に手間がかかるものでした。また、転記する際には人の手が介在するので、どうしても人為的なミスが起きがちです。特にパート・アルバイトで働く従業員のシフトや時給は人によってさまざまなため、ミスが発生しやすいといえるでしょう。しかし、勤怠管理システムを導入すれば、勤務時間や残業時間、有給休暇などのデータを自動的に集計することができるため、手作業による計算ミスを防ぐことができます。
<メリット④>シフト管理機能で人員配置や休暇の管理を効率的に行える
シフトを効率的に作成できる機能が備わっていることも勤怠管理システムの強みです。特にパート・アルバイト従業員を多く採用している企業の担当者は、複雑なシフトを作成して管理することに多くの工数を割いているでしょう。
これまでおそらく手動で行っていたシフトの作成や調整、休暇の管理などについて、勤怠管理システムに搭載されているシフト管理機能を利用すれば、大幅な工数削減が可能となります。
<メリット⑤>法改正にスピーディに対応できる
従来型のタイムカードによる勤怠管理では、法改正や制度の変更に手動で対応する必要がありました。一方、勤怠管理システムは一定の権利の取得条件の変更や要件の追加等が発生したときに、スピーディかつタイムリーに対応可能です。たとえば5日間の有給休暇の取得義務が定められた場合、取得実績が年間5日に満たない従業員をリストアップしてアラートを発する機能を持たせるなど、システムによって対応状況をアップデートすることも可能です。勤怠管理システムの導入は、「法改正に気付かずに法令違反となっていた」というリスクを未然に防ぐことにつながります。
クラウド型勤怠管理システムの「楽楽勤怠」でパート・アルバイト従業員の管理業務を効率化
パート・アルバイトなどいわゆる非正規雇用の従業員は複雑なシフトの下で勤務することが多く、管理担当者はシフトの作成はもちろん、出退勤や休憩時間の管理、有給休暇の取得状況のチェックや残業代を含む給与計算業務などに膨大な手間がかかっているケースが少なくありません。また、紙の管理ではリアルタイムに労働時間の把握ができず、長時間労働になっている従業員を事前に把握して手を打つことが困難です。
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