労働時間の把握は企業の責務!タイムカードの打刻にルールを定めよう
従業員の労働時間を把握することは使用者側の義務ですが、現状のタイムカードを使った管理に限界を感じている企業は多いのではないでしょうか。しかし、「打刻に関するルールを見直すといっても何から始めればよいのかわからない」という労務担当の方もいらっしゃるでしょう。そういった不安や課題に対し、本記事ではタイムカード打刻ルールの必要性や運用方法、従業員への周知の仕方や不正を防ぐための環境づくりなどについて解説し、適正な勤怠管理を推進していくためのヒントをまとめています。
この記事の目次
タイムカード打刻を行う理由
企業にとって従業員の労働時間を客観的に把握することは法律上の責務となっています。ちなみに労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを指します。明示的はもちろん、黙示的な指示により、従業員が業務を行う時間は労働時間にあたると考えられます。
労働時間を把握するためには、業務開始と業務終了の時間を記録することが基本です。多くの企業がタイムカードなどの機器を通じて出退勤情報を収集し、勤務実績の適正な把握や36協定の遵守などに活用しています。出退勤情報を適切に収集できているかどうかはとても重要です。
ただ単にタイムカードの打刻機を設置するだけでは、不正打刻や打刻漏れが発生する懸念があります。それを防ぐためには企業内における打刻ルールの設定と、その周知徹底が不可欠です。また、自己申告や使用者による現認といった曖昧な管理を行っている場合は、運用方法の見直しも必要となります。
労働時間の把握に関するルールについては、労働基準法に準拠していることを前提に、より明確で不利益な扱いがないよう、企業としてきちんと設定されることが求められるのです。
タイムカードによる労働時間管理が潜在的に抱える問題点
まずはタイムカード打刻が抱える現状と問題点を整理してみましょう。
手入力による作業により、手間やミスが生じる
タイムカード打刻の場合、紙による管理になるため集計作業時はエクセルなどの表計算ソフトを利用するケースが多いでしょう。集計のためにタイムカードを見ながら一人ずつデータ入力をしなくてはならないので、手間がかかります。また、転記ミスや計算ミスなどが起きれば、給与にもミスが反映されることになります。規模の大きな企業になればなるほど集計にかかる時間も増えるでしょう。
リアルタイムに勤怠状況を把握できない
紙のタイムカードの場合、通常は月に一度の締め日に月内の打刻状況を収集することになり、そのタイミングの前に打刻状況を把握することは難しくなりがちです。また、タイムカードの打刻だけでは遅刻や早退、残業時間までを正確に判断できず、本人への確認や、使用者による現認が後からまとめて行われるといった事態が起こってしまいます。
勤務時間の不正打刻
遅刻がばれないよう同僚や後輩に頼んで打刻しておいてもらう、あるいは残業する従業員に代理打刻を依頼して自分は先に退社するといった不正打刻が起きやすいという問題点があります。紙のタイムカードの場合、誰が打刻したのか記録が残しづらいことから、このような不正が起こりやすいのではないかと考えられています。
打刻漏れ発生による修正作業の増加
打刻漏れが発生した場合、人事労務担当者などから従業員本人への確認が必要となります。口頭での確認作業、記録の修正などが必要になり、時間と労力がかかります。結果、業務効率が落ち、生産性が低下するといった二次的な問題も起きてくるでしょう
客観的な記録とみなされないことも
厚生労働省からは、タイムカードやICカードなど、客観的な記録による労働時間の管理が求められていますが、なかには「客観的」とみなされないケースもあります。たとえば、改ざんの恐れがある打刻漏れや修正で発生した手書きのタイムカード、直行直帰による自己申告された労働時間、人為ミスの可能性が疑われる手入力によるエクセルなどでの集計作業がそれにあたります。
措置として、従業員と使用者に対し、「適正な労働時間に関するガイドラインを十分に説明しておくこと」「自己申告の場合は実態調査を実施すること」「所定労働時間を超える労働時間は報告しないといった慣習的な残業が行われていないか確認すること」など、企業側は対応策を講じなくてはなりません。
打刻ルールの紹介
労働時間を客観的に把握するためには、打刻におけるルールを定め、これを徹底する必要があります。法律で定められているルールを具体的な例を踏まえてご紹介します。
出退勤時の打刻ルール
従業員は出勤した時点で使用者の指揮下となり、労働時間が始まるとみなされるため、打刻するタイミングを明文化して周知しましょう。先に述べたように、労働時間とは使用者の明示的・黙示的な指示により業務を行う時間であって、労働契約や就業規則などの定めによって決められるものではありません。つまり、客観的に見て、従業員の行為が使用者から義務づけられたものといえるかどうかによって判断されるのです。
たとえば、制服や作業着への着替え、朝礼、業務に関連した清掃等を業務終了後に事業場内で行った時間などが、業務に必要な準備行為や後始末といえます。ほかにも労働から離れることが保障されていない状態の待機(いわゆる手待時間)や、参加することが義務づけられている研修、教育訓練、使用者の指示により行った学習時間なども労働時間に該当します。
- (参考):労働時間の考え方/労働時間とは
休憩時の打刻ルール
労働基準法では、6時間を超える労働には45分以上の休憩、8時間を超える労働には1時間以上の休憩が業務づけられています。この範囲内であれば休憩時間まで打刻することは義務とされていません。
ちなみに休憩時間とは、従業員が労働から離れる権利を保証されているものです。昼休みに入っているのに電話から離れることができない、来客があれば対応しなければならないといった業務が発生してはなりません。待機時間=手待時間は勤務時間とみなされるので、こういう場合、企業は別途休憩時間を与える必要があるのです。
それらを踏まえ、休憩時間の打刻については原則義務がないものの、休憩がしっかり取れているかどうかを判断する材料として、また休憩が長すぎる従業員の管理を行う意味でも、ルール設定の際に明確に示しておく必要があると考えられます。
- (参考):労働時間・休憩・休日関係
タイムカードの打刻ルールを周知徹底させるために
明確にルールを設定しても、それが従業員に伝わっていなければ意味がありません。では、しっかり周知し、守ってもらうためにはどうすればよいのか。以下のポイントを押さえながら日常的に取り組み、適正な運用を目指していきましょう。
打刻しやすい環境づくり
まずはタイムカードを打刻しやすい環境づくりに目を向けてみましょう。打刻機を従業員が必ず通る場所に設置するだけで、出勤・退勤時に打刻する習慣が身につきやすくなります。また、職場の壁などにポスターを貼ったり、社内メールを活用したりするなど、常に目につくよう呼びかけることも効果的です。意識を高めていくためには上司からの声がけも欠かせないでしょう。
定期的な教育・指導
従業員に対しては、定期的に研修・指導を行いましょう。同時に、労働時間の管理がいかに重要かを訴え、打刻漏れなどが引き起こす問題を明示することも大事です。
チェック体制の整備
正しい習慣を定着させるには、しっかりしたチェック体制をとることも大切です。月中に管理者が実際にタイムカードの打刻を確認するタイミングを設けるなどして定期的にチェックすることで意識の引き締めにつながります。管理者だけに限らず、従業員同士で打刻の確認を行う習慣をつけることもよいでしょう。
労働時間管理を効率化するには勤怠管理システム導入がおすすめ
タイムカード打刻による勤怠管理は、社会に浸透し慣れ親しまれたシステムではあるものかもしれませんが、近年求められている適切な勤怠管理のためには、課題が多く発生しやすいでしょう。現状の勤怠管理に限界を感じているのであれば、勤怠管理をシステム化することをおすすめします。
勤怠管理システムの導入は、日々の打刻だけでなく、確認や訂正作業にかかる時間を大幅に減らすことができます。導入時こそコストや手間はかかるものの、業務効率の改善やリスク回避を考えるとメリットはたくさんあります。
- ●アラート機能により打刻漏れを注意喚起。修正にもスピーディーに対応できる
- 打刻漏れがあった際に従業員と管理者それぞれの管理画面にアラートが表示されます。修正が必要な箇所がひと目でわかるように表示されるため、確認や修正作業の手間の削減につながります。
- ●WEB経由でスマホやパソコンから打刻でき、テレワークにも対応
- インターネットに接続できるパソコンやスマートフォンなどの端末さえあれば、従業員ごとに設定された打刻画面を通じて時間や場所を問わずに打刻することができるため在宅ワークでも勤怠管理をスムーズに行うことができます。
- ●リアルタイムで勤務状況が把握できる
- システム画面を通じて従業員それぞれのリアルタイムな勤務状況の確認ができます。システム画面を通じて残業時間もひと目でわかるので、時間外労働の抑制にもつながります。
- ●人事労務担当者の集計業務の負担が軽減する
- それぞれ従業員によって入力された出退勤情報をもとにシステムが自動で勤務時間の集計を行うため、手入力による出退勤情報の転記などの手間がなくなり、人事労務担当者の業務を効率化することができます。また、システムが自動で集計してくれるだけでなく、日次や月次に合わせて従業員の勤務実績をエクスポートすることで給与システムと連携することも可能です。
- ●システムの自動化によりヒューマンエラーが減少する
- システムによってアラートが発せられるため、ヒューマンエラーの発生は極力抑えられるでしょう。
- (参考):出退勤情報の収集
- (参考):勤務・雇用形態ごとの集計
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