タイムカードの15分単位による計算は違法!正しい勤怠管理のポイントを解説
タイムカードで勤怠管理を行っているとき、業務の効率化を目的に従業員の労働時間を15分や30分単位で切り捨ててはいませんか?それは労働基準法に反する行為です。従業員に告発される可能性もあり、悪質と判断されれば罰金を科せられるなど社会的にも制裁を受けることになります。労働時間の管理は1分単位で行うのが原則です。では、なぜ1分単位の管理が必要なのでしょうか?その理由を解説するとともに、勤怠管理をより効率的に行うためのポイントを紹介していきます。
この記事の目次
労働時間計算の原則とは?15分単位・30分単位の切り捨ては違法
タイムカードを集計する際、労働時間の算出方法で悩みを抱えている労務担当者は多いことでしょう。その結果、計算を楽にするために15分や30分単位で労働時間を切り捨てているとしたら、それは法律違反にあたります。労働基準法には、「全額払いの原則」があり、第24条に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています。では、「全額払い」とは何を指しているのでしょうか。以下の項目で、その内容を解説します。
タイムカードは1分単位で計算
労働基準法にある「全額払いの原則」について、厚生労働省は「労働条件・職場環境に関するルール」のなかで、「賃金は全額残らず支払われなければなりません」と示しています。しかし、15分や30分単位で労働時間を切り捨ててしまっては、全額残らず支払うことにはなりません。つまり、労働時間の切り捨ては認められておらず、「1分単位での計算が原則である」と言い換えることができます。
1か月単位の切り捨て切り上げは許容
労働基準法では「1分単位」での支払いが原則ですが、時間外労働・休日労働・深夜労働を1か月単位で集計している場合は、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理が認められています。ただし、1日単位や1週間単位で労働時間を算出している場合は、「1分単位の原則」が適用されるため、切り捨ては違法です。労働時間で従業員とトラブルにならないよう、労務担当者や管理者はルールを熟知しておくことが重要になります。
タイムカードによる勤怠管理と企業の責務
法律で定められている労働時間を厳守するため、2019年4月より「客観的な記録による労働時間の把握」が企業の法的義務となりました。「客観的な記録」ができるツールとして、古くから用いられているのがタイムカードです。カードを差し込むだけで出退勤の時刻が記録されるタイムカードは、従業員にとっても扱いやすく、設置にコストもかからないことから、いまも多くの企業で採用されています。
一方で、打刻漏れがあったり、集計が手作業だったりと、効率の面では課題が指摘されることも多くあり、適切な勤怠管理と業務効率化のバランスを考えて運用を行っていく必要があります。
端数を切り捨てる勤怠管理を行う3つのリスク
ここまで、労働時間の切り捨てが違法にあたることを解説してきました。では、労働時間で違法が発覚したとき、どんなリスクがあるのでしょうか。以下で詳しく見てみることにします。
【リスク①】労働基準監督署から指導を受ける
すべての労働者は、労働基準法によって守られています。そのため、企業のコンプライアンス状況を確認するために、労働基準監督署は従業員の労働環境を調査する権限を持ちます。問題の有無に関わらず、労働基準監督署は定期的に「定期監督」として企業に立ち入り調査を行うことがあり、帳簿や書類がチェックされます。
このときに労働時間の切り捨てが発覚した場合は指導の対象となる可能性があります。また、従業員からの申告でも「申告監督」として調査が入ります。法令違反があった場合は、口頭での指導だけでなく、是正勧告書が出されることになります。
【リスク②】法律違反で罰則が科せられる
企業側が従業員の労働時間を15分や30分単位で切り捨てていた場合、労働基準法120条の規定によって30万円以下の罰金が科される可能性があります。
前述のとおり、「全額払いの原則」によって労働者の賃金は1分単位で計算されなければなりません。そのため、労働時間を切り捨てて給与計算が行われると、切り捨てられた労働時間の未払いが発生することになります。同法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められているため、未払いがあると違法となり、120条の規定が適用され得るのです。
- (参考):履行確保について|厚生労働省
【リスク③】従業員から未払い分を請求される
労働時間の切り捨てや計算ミスによって給与が全額支払われなかった場合、従業員は会社に対して請求権を行使することができます。このとき、従業員の雇用形態は問われません。
請求権の時効は3年あるため、この間に労働基準監督署への申告や労働審判などの法的手段に訴えられる可能性もあります。このような事態になると、会社のイメージダウンは避けられません。取引先や顧客からの信用を失えば、企業としての存続に関わってくる可能性もあります。
タイムカードによる労働時間管理の問題点
ここからはタイムカードの導入によって出てくるよくある問題点について解説します。
打刻ミスや不正打刻が発生しやすい
タイムカードは、タイムレコーダーにカードを差し込むだけで打刻ができるため、誰でも簡単に使うことができます。一方で、そのメリットが悪用されると、本人以外の人物による不正打刻などにつながり、二重打刻や打刻忘れなどのミスも発生しやすくなります。
間違いがあったとき、その都度本人から申告があればよいのですが、締め日になってミスが発覚したような場合は、労務管理担当者が確認しなければならず、担当者にとって大きな負担となります。
集計作業に手間がかかりミスが起きやすい
タイムカード式の勤怠管理では、多くの場合、締め日に労務担当者が手作業でカードを集め、従業員一人ひとりの労働時間を集計しています。従業員数にもよりますが、とても手間がかかる作業であることに間違いありません。
また、どんなに注意を払っていても、ヒューマンエラーが起きる可能性はゼロではありません。
労働時間をリアルタイムに把握できない
近年進む働き方改革によって、時間外労働の上限規制が厳しくなりました。上限をオーバーしたり、一部の従業員に負担がかかり過ぎたりしないよう、担当者は一人ひとりの労働時間をしっかりと管理しなければなりません。
しかし、タイムカードを集計しなければ労働時間がわからないため、管理する側の負担は増大します。労働時間の調整で本来の業務に支障が出るようなことになっているとすれば本末転倒です。
テレワークなどに対応できない
出勤せずに、在宅で仕事をするテレワークが普及してきました。タイムカード式の勤怠管理は出社を前提としているため、テレワークには対応できません。また、営業職などは直行直帰や出張でタイムカードに打刻ができないこともあります。
働き方に多様性が求められる現代、出社しなければ打刻ができないシステムは、働きやすい環境づくりにマッチせず、従業員の不満につながるリスクがあります。打刻漏れや不正打刻を助長することにもなり、労務担当者にとってもマイナス要因です。
5年間の保管義務がある
名簿や勤怠管理などの書類は、「5年間保存しなければならない」と労働基準法第109条によって定められています。働き方改革関連法でも、労働時間の客観的な把握が求められているため出退勤記録の保管は欠かせませんが、紙ベースで保管するとなると大量になり、管理方法や保管スペースの確保が必要となります。しかし保管を怠ると、労働基準監督署が調査に入った場合、指導の対象となります。
勤怠管理システムを導入し、タイムカードの問題点を解消
ここまで、労働時間は1分単位で計算すること、そして従業員の出退勤の記録はタイムカードなど客観性のある手段で管理しなければならないことを解説してきました。
一方で、タイムカードには問題点も多いため、その解決を課題とする企業も少なくありません。タイムカードの課題を解決し、勤怠管理をもっとも効率よく進めるには、システム化がおすすめです。そこで、勤怠管理システムについて解説していきましょう。
勤怠管理システムとは?
勤怠管理システムとは、出退勤時刻の打刻や労働時間の管理、有給休暇の申請や残数の確認など、さまざまな機能を備えたデジタルシステムのことを指します。パソコンやスマートフォンからでも打刻ができ、労働時間もリアルタイムで把握できるなど、タイムカードの問題点を解決することができます。さまざまなシステムがあるため、導入にあたっては自社の課題解決につながるものであるかを精査する必要があります。
勤怠管理システムの種類
勤怠管理システムには、大きく分けてオンプレミス型とクラウド型の2タイプがあり、それぞれに異なる特長があります。
オンプレミス型
社内にサーバーなどを構築し、自社で運用するシステムです。カスタマイズの自由度が高く、必ず連携させなければならないシステムがある場合などに向いています。自社のネットワークを使うため、セキュリティ面でも安心です。
反面、システムのカスタマイズには開発費用がかかるため、コストが高額になり、導入までには時間も必要です。保守管理も自社で行うためランニングコストも高くなり、従業員数が少ない場合は割高になる傾向にあります。社内にノウハウのある人材がいなければ、導入は難しいといえます。
<オンプレミス型のメリット・デメリット>
メリット
- ●カスタマイズの自由度が高い
- ●独自システムとの連携も可能
- ●セキュリティ対策を強化できる
デメリット
- ●導入や運用のコストが高額
- ●導入に時間がかかる
- ●専門人材が必要
クラウド型
ITベンダーが提供するシステムサービスを利用する方法で、インターネット環境があればすぐに導入できます。オンプレミス型に比べると、導入時の費用的コストを格段に抑えることができますが、カスタマイズ性は低くなります。ただし、その分自社でシステム構築や管理の必要がなく、法改正があってもその都度ベンダー側でシステムをアップデートしてくれるため、ノウハウは必要ありません。専門の部署がなくても簡単に運用することができ、ベンダーからのサポートを受けることもできます。
一方、インターネット回線を利用するため、セキュリティ対策が必要になります。
<クラウド型のメリット・デメリット>
メリット
- ●導入コストが抑えられる
- ●短期間での導入が可能
- ●自社でのシステムメンテナンスが不要
- ●ベンダーからのサポートが受けられる
デメリット
- ●カスタマイズ性が低い
- ●セキュリティ対策が必要
勤怠管理システムでできること
勤怠管理システムを導入することで、日常の業務がどのように変わるのでしょうか。具体的に見てみることにしましょう。
①不正打刻や打刻ミスを防ぐ
PCやスマホから打刻するため、第三者による不正打刻はできません。テレワークや直行直帰にも対応でき、打刻忘れはアラートがお知らせします。
②労働時間をリアルタイムで確認できる
集計しなくてもリアルタイムで全従業員の労働時間が表示されるため、上限規制に抵触しないような働き方が可能になり、労働時間に偏りがないかをチェックできます。
③労働時間の集計が自動化される
労働時間の集計が自動化され、残業や休日出勤など給与計算に必要なデータも自動で計算されるため、ヒューマンエラーがなくなり、工数も大幅に削減できます。
④有給休暇など休暇の管理が楽になる
有給休暇の取得状況や残数の確認も、画面で簡単にできます。管理者だけでなく従業員本人にとっても、休暇の管理が楽になります。
⑤コンプライアンスが徹底できる
政府による働き方改革の進展に伴い、たびたび法改正が行われています。クラウド型の勤怠管理システムの場合は、一般的にシステムの開発会社が法改正に応じてアップデートを行うため、法改正に気づかず違反してしまうなどのリスクが激減します。
勤怠システムの導入でタイムカードでのデメリットをすべて解消することができ、大幅に業務の効率化が図れます。ITに苦手意識があっても、操作が簡単なものもあるので、タイムカードでの勤怠管理に限界を感じているのであれば、システム化をぜひ検討するべきでしょう。
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- 監修石川 弘子
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※現在は申請期間外となります。