タイムカードによる労働時間管理の利点と問題点。より効率的に給与計算を行うには?

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タイムカードによる労働時間管理の利点と問題点。より効率的に給与計算を行うには?

タイムカードを用いた労働時間管理や給与計算は多くの企業に広く浸透してきました。出退勤時にタイムレコーダーで打刻しその記録をもとに集計するというシンプルな方法であり、企業にとっては導入コストが抑えられることも利点だったといえます。しかし、効率面や安全面などでさまざまな問題があり、担当者がトラブルへの対応に苦慮するケースも少なくありません。

直行・直帰・出張はもとより、フレックスタイムやリモートワークなど勤務形態が多様化している昨今、より正確かつ効率的に給与計算を行うには、どのような取り組みが必要となるのでしょうか?本記事では、タイムカード集計による給与計算の課題や効率化する方法について詳しく紹介します。

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この記事の目次

    タイムカード集計による給与計算の流れ

    タイムカードによる給与計算は、従業員が出退勤時間をタイムレコーダーに打刻し、その記録を企業の労務担当者などが月締めで集計して行うというものです。従業員数が多かったり出退勤時間がバラバラだったりしても、タイムカードに記載されている情報は担当者が手入力で転記しているというケースがほとんどです。

    しかし、従業員の打刻ミスや、業務によっては現場に直行・直帰するため打刻ができないなど、イレギュラーな要素も発生します。

    労働時間の把握と給与計算は正しく行われるべきものですが、タイムカード集計は不正やミスなどのリスクもあり、締め日に間に合わせるために担当者の業務が繁忙になるなど、企業にとってはあらゆる面で非効率的なものといえます。

    給与計算を行う際に注意すべきポイント

    労働時間は正確に管理されるべきもので、原則タイムカードに打刻された時間の丸め(端数を切り捨てたり切り上げたりすること)は違法とされています。企業が従業員の正しい労働時間を把握し、それに基づいた給与計算を円滑に行うためには、どのようなことがポイントになるのでしょうか。

    タイムカードの集計は1分単位で行う

    タイムカードに基づいた労働時間の集計は、1分単位で行うことが原則です。残業など時間外労働で割増賃金が発生する場合、事務処理を円滑にするため、企業によっては月単位で「30分未満の端数がある場合にはこれを切り捨て、それ以上の端数がある場合にはこれを1時間に切り上げることができる」としているところもあります。しかし、毎日の労働時間はあくまでも正確に、1分単位で計上することが正しい労働時間管理とされているので、違法となります。

    15分単位・30分単位の時間の丸めや切り捨てはNG

    タイムカードの集計作業において、端数を日毎に切り捨てたり切り上げたりすることはできません。よって、原則15分単位・30分単位の時間の丸めはできません。労働時間の集計が正しく行われていないとみなされ、場合によっては賃金不払いの法律違反となってしまうこともあります。

    端数処理で違法に当たらないのは、日毎ではなく月毎、つまり「1か月」において、「時間外労働、休日労働及び深夜労働の各々の時間数の合計」で「1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」とされています

    タイムカードによる給与計算の問題点

    タイムカードによる給与計算の問題点

    タイムカードはコストがかからず簡単に導入できるという利点はあるものの、転記・計算・修正は企業の担当者が手作業で負うことになるため、ミスの発生や効率の悪さなど問題点も多々挙げられます。

    手間がかかりミスが発生しやすい

    企業の担当者には、締めが近づくと各部署からカードを回収し、打刻データを別の書類やエクセルなど表計算ソフトに転記するという作業が必要になります。当然、手間がかかりますが、従業員の打刻ミスや、場合によっては不正も起こり得るため、打刻されているものが正確とは限りません。さらに、担当者にも転記ミスや計算間違いが発生することもあります。どうしても非効率的な業務となり、ミスが起こるリスクも低くはありません。

    ミスが発覚したときの修正作業が大変

    前項のようなミスが発生した場合、企業の担当者はそれを修正し、改めて正確な給与計算を行わねばなりません。数字の修正だけでなく、現場の責任者への確認、従業員本人への聞き取りなど、業務が多岐にわたる場合もあります。ミスが複数人に及んだり、発覚までにタイムラグがあったりすれば、作業はさらに複雑化します。少しでもズレが生じてしまうと担当者は繁忙となり、それが企業全体の業務に影響するケースも出てくるでしょう。

    給与明細の出力配布に工数とコストがかかる

    タイムカード集計における担当者の業務には給与明細の作成も含まれます。集計作業が紙であっても、エクセルなどパソコンを用いたものであっても、従業員個々に紙で給与明細票を配布する場合はその出力・印刷といった作業が伴い、それを従業員全員に配布する工程が必要です。当然、費用もかかります。タイムカードによる勤怠管理は、転記・計算に手間がかかるだけでなく、明細の発行までにいくつもの工程やコストが必要となることも前提となっています。

    法改正の際に対応がしにくい

    企業(使用者・経営者・事業主)が従業員(労働者)の労働時間を正確に把握することは「働き方改革」への取り組みである改正労働基準法でも掲げられ、義務化されています。ほかにも、時間外労働に対する上限規制や年次有給休暇の付与義務化などへの対応が求められています。

    しかし、従来のタイムカード集計では、前述のように様々な手間がかかることもあり、法に則った厳密な処理が難しく、仮に今後も改正が行われた場合など、ますます対応が困難になることが懸念されます。

    給与計算ミスで起こり得るリスク

    タイムカード集計で計算ミスなどが起こり、正しい労働時間の把握と給与計算ができず実際の労働時間よりも少なくなってしまう状態は、企業内でのトラブルを招くだけでなく、法律的にも「賃金未払い」という違法行為に当たります。違反した企業は労働基準監督署からの是正勧告や罰金、未払い分の賃金支払い、遅延損害金などが科せられるという、大きなリスクにつながっているのです

    ちなみに、労働基準法第11条で「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」とされ、同24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。また、違反行為に対する罰則については、同第120条に「次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する」とあり、24条を含め多くの条文が対象となっています。

    手間のかかる勤怠管理、効率化しませんか?

    タイムカード集計による給与計算を効率的に行うには

    タイムカードによる集計は、非効率な面やリスクなどが多々あることをご紹介してきました。これを少しでも効率的に、トラブル発生を最小化していくためには、どのような方法を取り入れていけばよいのでしょうか?

    エクセルを使用する

    集計にエクセルなどの表計算ソフトを用いるという方法があります。エクセルのテンプレートやマクロ(自動化)といった機能を用いることで、手書き・電卓での計算よりも圧倒的に効率が上がります。入力(タイムカードからの転記)に間違いがなければ、集計も正確に行えます。表計算ソフトは、エクセルのほかにも「Googleスプレッドシート」や「WPS spreadsheets」などがあり、いずれも、職場のパソコンには予めインストールされている場合がほとんどでしょう。

    ただし、タイムカードからのデータ入力は手作業となってしまうため、どうしても時間と手間を要します。その過程でミスが起こったり、意図的な編集・改ざんが行われたりするケースも考えられるため、やはり多少のリスクは伴うことになってしまいます。

    WEB上の集計サービスで自動化を図る

    WEB上には、無料でデータ集計をしてくれるサービスがあります。提供サイトによって仕様はさまざまですが、タイムカードに打刻された出勤時刻や退勤時刻、さらに休憩時間を入力すると、自動的に労働時間や給与計算などを行ってくれるのが一般的です。しかし、表計算ソフトと同様にタイムカードからのデータ入力という手間は必要であり、それまでの過程でミスがあれば当然結果も誤ったものとなるため、その都度注意が必要です。WEBを介して行うため、情報の漏洩などセキュリティ面でも不安が残ります。

    勤怠管理システムを導入する

    「勤怠管理システム」を用い、タイムレコーダーなどの打刻機と連携させて勤怠管理や給与計算を行う方法もあります。従業員が打刻したデータが転送され、システムに自動入力されるという仕組みです。計算のルールを設定しておくことで集計も自動で行われ、担当者のデータ入力や集計の手間が必要ありません。

    ちなみに勤怠管理システムは、紙製のタイムカードを用いず、従業員が所定のアカウントにログインして出退勤時刻を報告し、給与計算などほかのシステムと連動できるといった運用が可能です。

    システムの導入・運用にはタイムカードよりコストがかかりますが、労働時間の正確な把握・給与計算業務の効率化・トラブルや法律違反の防止などを実現するため、導入を検討する企業が増えています。

    勤怠管理システム導入のメリットとは

    勤怠管理システム導入のメリットとは

    それでは、「勤怠管理システム」を導入して給与計算を行うためには、どのようなことがポイントとなるでしょうか。従来のタイムカード集計が抱えていた課題と比較しながら、勤怠管理システム導入のメリットを確認していきましょう。

    労働時間をリアルタイムに集計できる

    勤怠管理システムは、従業員がタイムカードを用いなくても、パソコンのWEBブラウザやスマートフォン、タブレットなど手元の端末から出退勤時間を打刻できるという仕組みです。企業はネットワークを通じてそれらを管理し、勤怠管理をスピーディーかつ正確に行えるとともに、給与計算システムと連携させることで、賃金の集計や出力も円滑にできるというものです。従業員の出退勤時刻・労働時間をリアルタイムで確認できるという点は、大きなメリットのひとつです

    その日の勤務時間をすぐに確認できるのと同時に、一人ひとりの残業や休日の把握も随時行うことができ、時間外労働や有給休暇の管理なども容易に行うことができます。タイムカードのように企業の担当者がカードを回収して転記・入力したり、集計したりという工程も必要ありません。従業員側の打刻情報をもとに、自動的かつ迅速に集計してくれるため、「締め日前に業務が繁忙になる」ということがなく、効率的で柔軟な対応を可能にしています。

    フレックスやテレワークなど多様な働き方に対応できる

    タイムカードの場合は、タイムレコーダーのように打刻できる機器がある場所でしか出退勤の記録はできませんが、勤怠管理システムはインターネットに接続できる環境であれば従業員は自分の端末でどこからでも打刻できます。

    具体的には、現在さまざまな企業が取り入れているフレックスタイムやテレワーク・リモートワークなどにも柔軟な対応が可能であり、出張したり、現場に直行したり、出先から直帰したりといった場合でも、問題なく出退勤時刻を記録できます。多様な働き方に対応できるという仕組みは、企業にとっても従業員にとっても大きな利点といえるでしょう

    なにより、いつでもどこからでも打刻できるため、出退勤時に打刻忘れ・打刻漏れが起こったり、ほかの人にタイムカードの打刻を頼んだりという状況にはなりません。それは、従業員のミスを防止するとともに、不正行為を防ぐことにもつながり、企業の勤怠管理において大きなメリットとなります。

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    タイムカードを用いる従来の方法と比較して、勤怠管理システムによる給与計算には効率面・安全面などに多くのメリットがあります。

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    給与計算システムと連携することで、賃金の支払いにおいていつでも正確な集計・出力を実現します。

    また、時間外労働や有給休暇もリアルタイムで確認でき、企業に求められる法的な対応にも貢献します。リモートワークや出張などさまざまな働き方にも柔軟に対応できるため、従業員・企業担当者の負担を大きく軽減します。

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    石川 弘子
    • 監修石川 弘子
    • フェリタス社会保険労務士法人 代表
      特定社会保険労務士、産業カウンセラー、ハラスメント防止コンサルタント。
      著書:「あなたの隣のモンスター社員」(文春新書)「モンスター部下」(日本経済新聞出版社)
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